2024年6月28日金曜日

第3568話 「雷鳥」に翼を休めて (その2)

西武池袋線の通る石神井公園。
「雷鳥」に疲れた翼を休めている。
煮凝りがいい感じに旨い。
日本酒が欲しくなり、品揃えをチェック。

おや? 雷鳥なる酒があるゾ。
長野県は木曽山脈(中央アルプス)のふもと、
伊那市の(株)仙醸の手になるものだ。
雷鳥は長野の県鳥でもあるしネ。

「1合に足りないものですから
 半合でしたらご用意できますが・・・」
「ああ、いいですヨ、半合で」
舌に乗せると、同じ長野でも
真澄や大雪渓とは味わいが異なる。
すっきりではないし、どっしりでもない。
清涼感よりも日本酒らしい安定感があった。

煮凝りが溶けかかってきた。
よく居酒屋で見かけるヤツに
温度が上がっても全然溶けないのがあるが
あれはいただけない。
本物の煮凝りって溶けるものなんだ。

締めのそばにする。
食が細いくせに欲張りなJ.C.、
せいろ・田舎・変わりの三色そばを所望した。
本日の変わりそばはトマト切り。
産地と品種はせいろが北海道十勝産・北早生、
田舎は茨城県下妻産・常陸秋で
トマト切りのみ、明記がなかった。

せいろはごくフツー、ぶっとい田舎にたじろぐ。
トマト切りにはトマトジュースのようなつゆも。
担当のハマちゃん曰く、
「まず通常のつゆで味わってから
 こちらもお試しください」
言われた通りにしたがトマジューは
あまり意味がないように思われた。
お勘定の3971円はちと高くないかな?

帰りの電車は池袋行き急行。
別段やることもないから
さっき貰ったレシートをぼんやり眺める。
ありゃ、日本酒・雷鳥が1合と半合、
両方ついてWチャージと来たもんだ。

池袋到着後、「雷鳥」に電話を入れる。
電話口にハマちゃん出て来て平謝り。
「大した金額じゃないからいいんだけど
 このまんまにしとくのも何だし、
 近いうちにおジャマするネ」
「どうもすみません」
「近所の『辰巳軒』に寄る前、
 軽く1杯でかまわないかな?」
「もちろんです。
 ご迷惑おかけしてすみません。
 わたしたちもよく行くお店なんです。
 お待ちしておりますネ」
てなこって近々の再訪が約束されました。

「雷鳥」
 東京都練馬区石神井町3-17-12
 菊花堂ビルB1
 03-6913-1596