2024年6月24日月曜日

第3564話 バスに乗り込む 反射神経

駿河台の明大前でバス停を
通りすがったらスッとバスが停まった。
普段からなるべく車道の左側を歩くように
心がけているが、この日もそうだった。
自分の歩きと同じ方向にバスも走るからだ。
逆方向のバスだと乗る気にはならない。
今来た道筋が無駄になるからネ。

獲物を狩る肉食動物は
ターゲットが逃げるために走り出すと
本能的に後を追いかける。
J.C.の本能も近くにバスが停まり、
走り出そうとすると
つい、つい、飛び乗ってしまう。
その反射神経の鋭さたるや相当なものだ。
何せ、Japanese Cat の異名を取るからネ。

気まぐれに乗り込んだバスは荒川土手行き。
まことに失礼ながら人の棲まない辺鄙な場所だ。
1時間に2本程度しか来ない稀少なバスに
乗ってから考える、はて何処で降りようかな?

右手に聖橋を眺めながら
神田川をお茶の水橋で渡ったバスは
東大前→本駒込→動坂下→田端と通過してゆく。
荒川区・小台で下車を決めた。
揺られながら気になる店を思い出したのだ。

「街仲食堂」は変わった店で
近所の奥様たちの得意料理なんぞも提供する。
壁にズラリ貼られた品書きの短冊に
しらたきと明太子あえ(みつえさん)、
かぶと新玉ネギとハムのマリネ(けい子さん)、
鶏南蛮(まり子さん)などが見える。

いかにも素人料理という感じは悪くないけど、
やはり食指が動かない。
好物の馬刺しをカールスバーグの小瓶と通した。
馬肉の産地を訊きそびれたが柔かい赤身は旨い。

長崎県・壱岐の麦焼酎をロックでー。
お次はサントリー知多のソーダ割り。
そしてビールに引き返し、メキシコのコロナ。
「ライムの代わりにレモンなんですが・・・」
「ああ、レモンはなくてもけっこう」
「ハイ、かしこまりました」

NYで飲んで以来だから
30年ぶりくらいじゃないかな?
そろそろ飲んでもいいコロナ。
この名前じゃ、コロ助のせいで
大きな打撃を受けたろう、可哀想に。

お勘定は3千円とちょっと。
貰ったレシートに
=料理上手なおかあさんとお酒=
是非、またおかあさんたちの
美味しくて優しい手料理を
食べにお越しください
とありました。

「街仲食堂」
 東京都荒川区西尾久3-20-4
 090-1403-5715