2015年11月3日火曜日

第1221話 YOKOHAMA is Beautiful ! (その5)

例によってハナシは脇にそれ、
美食家・ロッシーニの名前を冠した牛フィレステーキである。
フィレ・ド・ブッフ・トゥルヌド・アラ・ロッシーニのトゥルヌドは
英語でトルネード、日本語で竜巻のことだ。

1995年、野茂英雄がメジャーリーグにデビューしたとき、
ホームベースに背中を見せて回転するトルネード投法は
全米の注目を集めた。

牛のフィレ肉の周りををベーコンで包み、
丸く成形したそのカタチが竜巻を連想させるのだ。
仕上げにかけられるソース・ペリグーは
食材のフォワグラと黒トリュフが
フランスのペリゴール地方の名産だからである。

「アルテ・リーベ」のランチであった。
最初に運ばれたのは緑のトマトとフリルレタスの小さなサラダ。
緑のトマトは珍しい。
祐天寺の門前にあった「ビストロ・ポン・レベック」で食べたのが最後、
もう7年も以前になる。

続いて真鯛が登場した。
真鯛のクレープ包みには2種類のソース
下地の白いのはブール・ブラン。
赤は甲殻類の香りがしたからおそらくアルモリケーヌであろう。
アッサリと食べられたがパンチ力の不足を感じる。

そして本日のメインのハンバーグだ。
ハンバーグが見えない
それもそのハズ。
3グラムと6グラム、黒トリュフの量が選べるところ、
豪勢に6グラムをお願いしたからネ。

肝心の味のほうだが質のせいだろうか、イマイチ香りが薄い。
ペリゴール産の高級品ではないらしい。
北イタリアはアルバの白トリュフとは比べるべくもないけれど、
多少の不満が残った。

本体のハンバーグにしても粗挽きの牛肉が主張するものの、
ジューシーさに乏しく、洋食の優良店のレベルに達していない。
食べながら浅草は観音裏の名店、
「ニュー王将」のソレを思い出していた。

「アルテ・リーベ」はこの横浜店が本店。
東京の新橋に支店があって、あちらはワイワイガヤガヤのなか、
ミュージックも楽しめる。
早いハナシ、新橋はビヤホールで横浜はクラシカル・レストラン。
本店は結婚式の披露宴にも力を入れており、
それなりの荘重な雰囲気を備えている。
まっ、どちらにしても料理の水準はそこそこなのである。

=つづく=

「アルテ・リーベ」
 神奈川県横浜市中区日本通11
 050-5787-1949