2026年3月7日土曜日

第4012話 歓びアーカイブ 第7回

土曜日恒例のアーカイブにござんす。
あれは12年前の晩夏でありやした。

2014年8月20日水曜日

第907話 利休鼠のよもぎ切り

 ♪   雪の白樺並木 
   夕日がはえる
   走れトロイカほがらかに
   鈴の音高く
   走れトロイカほがらかに
   鈴の音高く ♪
    (訳詞:楽団<カチューシャ>)

ロシア民謡の「トロイカ」。
ちなみに、楽団<カチューシャ>は
第二次大戦後、ハバロフスク地区に
抑留された日本人捕虜による楽団だ。

原曲は金持ちに恋人を奪われた、
トロイカ(三頭立て馬車)の 馭者に
まつわる悲しい歌だが
カチューシャのメンバーが間違えて
他の曲の歌詞を訳したらしい。

さて、日本人の耳に
なじみの深い「トロイカ」。
今回、訪ねたのは
歌詞の中にある ”白樺並木” である。
といっても雪化粧の並木道ではなく、
2ヶ月ほど前に紹介した、
金町の日本そば屋「白樺」だ。

前回はイベリコ豚の肉せいろと
小えび5本の天丼による、
ランチのCセットをいただいた。
その際、壁に見とめた、
1枚の貼り紙が気になっていた。
 
 丹沢山麓よもぎ使用 
 よもぎ切りそば 670円

この一品である。
忘れ去ること能わず、
舞い戻ったのだ。

よもぎとなると第一感は
寅さん映画でおなじみ、
柴又は帝釈天参道の草だんご。
当地の団子屋は
千葉県産を使っているようだ。
江戸川の向こう岸も
千葉県・矢切だがもっと遠くから
調達しているらしい。

そういえば、
寅さんのおばちゃんが
映画の中で嘆いていたっけ。
「こんなもん、昔は江戸川の土手で
 いっくらでも採れたのにねェ」

べつに団子屋が
乱獲したわけでもなかろうに
自然界は刻一刻と
変遷していくんですねェ。

ヨモギは食用や薬用以外に
お灸のもぐさとしても
人類に効用を与えてくれている。
欧州にもヨモギの仲間のニガヨモギが
各種リキュールの原料になっている。

一番有名なのがフランスのアブサン。
ただし、この酒、
薬用酒としての効能よりも、
アルコール中毒者を
大量に産み出したことで悪名が高い。
フランス政府など長いこと、
製造禁止令を出していたくらいだ。

運ばれたよもぎ切りはかくの如し。
草団子よりも緑がくすんでいる
茶人・千利休が好んだ色に
緑を帯びたねずみ色、
そう、利休鼠があるが
その色に限りなく近い。

嗅いでみても香りが
それほど立ち上ってくるわけではない。
食してもよもぎが
その味を主張するでもない。

マイルドと言えばそれまでだが
変わりそばならしそ切り、
あるいはゆず切りに
一日の長があるように思われた。

「白樺」
 東京都葛飾区東金町3-17-12
 03-3607-3684