2011年10月17日月曜日

第163話 北海縞海老の話

何かに咬みついたが最後、
雷が鳴ろうが稲妻がは疾ろうが金輪際放すことのない、
性器の、もとい、世紀の咬みつき亀、
友里征耶が親切にも電話をくれた。

何でも当コラムのことがツイッターでつぶやかれていたらしい。
当方、その世界には足を踏み入れたことがないので
今ひとつ実感が伴わないが
ことの次第はかくかくしかじかである。
まず先週掲載した「第160話 根室から札幌へ逃走」から
一文を引用したのでご覧いただきたい。
「根室食堂 新橋店」での出来事であった。

根室直送の活魚がウリの店だから変わった食材が揃っている。
少々水っぽいがオヒョウの刺身が珍しい。
好物の北海縞海老を注文すると、茹でられてやって来た。
どこの世界に縞海老を茹でるバカがいるんだい!
茹でるんだったらメニューにその旨を明記せよ。


友里亀が伝えてくれたところによると、
これを読んだツイッターのつぶやきシローならぬ、
つぶやき某氏曰く、
「北海縞海老は茹でて食べるのが当たり前、
 カン違いでバカ呼ばわりされたら店もたまらないよな」―
であったらしい。
某氏に言わせれば、まさしく
”カン違い コタツで母の 手を握り” を地でゆくJ.C.である。

ちょっと待ってくださいよ、つぶやきサン。
道東の野付半島辺りで大量に水揚げされる北海縞海老は
正しくは北国海老というらしいが
浜茹でされて箱に詰められ、消費地に供給されている。
松花堂弁当の炊き合わせなんかに紅一点、
鎮座ましましているあれだ。
あれは解凍後にあらためて味付けされたもの。
もっとも高級店では高価な車海老が使われるけれど・・・。

しかしながら都内の真っ当な鮨屋や割烹では
ナマ以外の、火の通った縞海老にはまずお目に掛からない。
デパ地下や都内有数の鮮魚店、
御徒町「吉池」でも刺身用としてナマで売られている。
つい先日も自宅用にここで購入したし、
ふた月ほど前には浅草の「志ぶや」で刺身を食べた。

たくさん獲れるうえに鮮度オチの早い海老につき、
ナマで流通させるにはムリがあるのだろう。
でもネ、プックリと太って良形の縞海老は
何と言っても刺身が一番。
くだんの「根室食堂」でも産地直送を高らかに謳い、
しかも刺身のラインナップにその名が記されていれば、
誰だってナマで供されるものと思い込んでしまうでしょうに。

まっ、いくらなんでもバカは言葉が過ぎたかもしれない。
それに説明不足で誤解を招いた点も否めない。
ただ、そういうことですから
つぶやきサンのご了承を得られれば幸いであります。