2011年10月12日水曜日

第160話 根室から札幌へ逃走

三石精一+東京ユニフィルハーモニー管弦楽団の
定期演奏会に通い始めてどのくらいになるだろうか?
3年近くになるのではないか。
その最後の定期公演を聴きにサントリーホールに赴いた。
ドビュッシー、ラヴェル、ベルリオーズ、フランスの巨匠3連発だ。
昼と夜の長さが同じ日のことで穏やかな秋日和であった。

コンサートがハネたあと、向かったのはオヤジの街・新橋。
赤坂・六本木に落ち着き処を求めてウロウロするより、
地下鉄に乗ってしまったほうが早い。
新橋なら隣りに銀座が控えていることだし、
たとえ祝日であろうとも、どうにかなろう。

一行は、K木夫妻、Gラ、Y子の総勢5人。
5人とも同期ながら板橋高校出身のJ.C.以外は
すべて隣りの豊島高校出身者。
悪名高き都立高校学校群制度のもと、
賽の目の出方一つで同じ学び舎に通うこともあった間柄。
結果として出目は異なれど、両校はそこそこに仲がよい。

駅前ビルに飛び込むものの、気に染まる店はみな休業中。
それではと地上に出て目にとまったのが「根室食堂 新橋店」。
渋谷店の前はしょっちゅう行き来するので
その存在は認知していたけれど、とにかく初めての試みに
あまり期待もせず入店した。

ビールは生のプレミアムモルツのみでいきなりガックシ。
仕方ないから1杯だけやっつけ、あとは角のハイボールへ移行。
根室直送の活魚がウリの店だから変わった食材が揃っている。
少々水っぽいがオヒョウの刺身が珍しい。
好物の北海縞海老を注文すると、茹でられてやって来た。
どこの世界に縞海老を茹でるバカがいるんだい!
茹でるんだったらメニューにその旨を明記せよ。

腹っぺらしのGラの発案で
”ど~んとにぎり30カン盛り”なんぞも頼んでみたが
奇妙なネタばかりで鮮度と質にも疑問あり。
どうにもこうにも箸が進まず、5~6カンを残して退散を決め込む。

逃走を図った亡命先は間違いのない「銀座ライオン 七丁目店」。
言わずと知れたサッポロビール直営のビヤホール、
そのフラッグシップである。
ところがどっこい、到着してみれば長蛇の列だ。
それもそうだよなァ、銀座一、いや、東京一のビヤホールですもの。

そこで急遽向かったのがすんなり入れる「五丁目店」だ。
接客の女の子に「おトクですから」とすすめられ、
K木とJ.C.は1リットルの特大ジョッキに挑戦。
おう、おう、さすがにサッポロ、旨さがネムロとは格段に違う。
大した時間も掛けずにお替わりである。
これには西武ライオンズのオカワリ君も参ったろう。

つまみのアボカドサラダはそれなり。
店自慢のローストビーフは
有楽町の「レバンテ」よりオチても及第点はを上げられる。
何せロービーは大店(おおだな)でないと提供できないからネ。

ほどなく知人の結婚披露宴に出席していたH津、
娘の発表会を見守ってきたS井が遅れて到着。
彼女たち2人も豊島高校の出だ。
気の置けぬ友人たちとああでもない、こうでもないの応酬。
和気あいあいのワイワイガヤガヤ。
互いにジジ・ババになっても楽しいものである。
そして傍らにビールのジョッキがあれば、
もう何も言うことがございませぬな。

「根室食堂 新橋店」
 東京都港区新橋2-18-4
 03-3571-3360

「銀座ライオン 銀座五丁目店」
 東京都中央区銀座5-8-1 サッポロ銀座ビルB1
 03-3571-5371