2011年10月24日月曜日

第168話 再び北海縞海老の話

第160話に端を発し、
第163話でもふれた北海縞海老の話。
読者のM井サンから貴重なメールが届いたので
ここに紹介させていただく。

初めまして。北海道在住のM井と申します。
J.Cさんの本は「●●を食べるシリーズ」、どくろ本、
庶ミシュランとも軽快な文章が楽しく、
愛読させていただいています。


今年7月までの4年間は、東京勤務で西荻窪に在住しており、
J.Cさんの本やブログを参考に食べ歩きをさせていただきました、
どじょうの「ひら井」、とんかつの「ゆたか」、寿司「たなか」など、
数々の店を教えていただいたので東京生活を満喫できました。


前置きが長くなりましたが、ここから本題です。
上記の本などでもかねてから疑問に思っていたのですが、
先日のブログでようやく分かりました。
J.Cさんが言う「北海縞エビ」と北海道のそれは全く別物なのです。
両者の違いを記しますので参考にしていただければ幸いです。


ホッカイエビ
北海道で言う北海縞エビです。
ご指摘の通り、野付湾やサロマ湖で捕れます。
ここからが肝心なのですが、生きている時の体の色は
緑褐色で黄緑色のしま模様が入っています。
これを茹でると、御存知の鮮やかな赤に変わるのです。
湧別や別海など産地に近い店で「おどり」で供するほか、
札幌で刺身を出す店もありますが甘味が少なく、
決しておいしいとは言えません。
シャコ同様、鮮度のよい物でも茹でて食べる方がおいしいのです。


モロトゲアカエビ
北海道で言う縞エビ、J.Cさんの言う北海縞エビです。
日本海側(留萌や増毛、余市から積丹にかけて)で
甘エビや牡丹エビなどともに混獲されることが多いです。
あまり数が多くないため、狙って捕れる物ではないのです。
よって、希少価値は道内でも高いのです。
北海道の人も、ちょっと魚介類に詳しい人なら
このエビの価値は知っていて、甘エビよりも人気は高いです。
当然、茹でるなどは邪道で
鮮度の良い物はまず、刺身か寿司で食べます。
その他、天ぷらか唐揚げといったところです。


今回のブログにあった話は
都内と北海道で「北海縞エビ」と言った場合、
示すエビの種類が全く別物だったことに
端を発していることが原因でしょう。


茹でて食べる「北海縞エビ」は築地でも評価が一定しておらず、
単なる「茹でエビ」として扱っている店も多いため、
むしろ産地より安くなる場合もあると、聞いています。
にもかかわらず、根室食堂が地元で使っている「北海縞エビ」が
そのまま都内でも通用すると思って表記したため、
J.Cさんのような件を引き起こしたのだと思います。

以上、長々と書きましたが、ご参考になれば幸いです。

おかげ様で疑問が氷解しました。
微に入り細を穿つご解説、M井サンに心より感謝します。
いやあ、人生はいくつになっても勉強ですねェ。