2012年2月8日水曜日

第247話 冬の散歩道

♪  Time,Time, Time, see what's become of me
  While I looked around for my possibilities.
  I was so hard to please.
  Look around, Leaves are brown,
  And the sky is a hazy shade of winter.  ♪

だしぬけの横文字で失礼サンにござんす。
手前、この曲が大好きにござんす。

サイモンとガーファンクルの「冬の散歩道」。
ポール・サイモンの手になる佳曲は1966年の作品だが
出会ったのは’68年頃だったと思う。
高校2年の半ばにサッカー部をやめ、お気楽な放送部に転部。
昼休み、放課後には部室にこもって繰り返し聴いた。

歌詞はだんだん哲学的になり、難解な要素を帯びてくる。
人生の挫折と明日への希望が入り混じって
冬来たりなば春遠からじ、日本のことわざを連想させもする。

1980年代に活躍したアメリカの女性ロックバンド、
バングルスがこの曲をカバーしてリバイバル・ヒットさせたが
本家の持つキレ味、奥行きには遠く遠く及ばない。
曲の魂を理解しないままに歌っちゃったのだろう。

1994年に放映されたTBSのドラマ、
「人間・失格」の挿入歌に採用されたから
覚えておられる方も少なくないと思う。
TBSは主題歌としたかったが
P・サイモンの認可が得られず、挿入歌にとどめたようだ。

月に2~3回、本郷の東大キャンパスを歩く。
学食で食事をしたり、散歩の途中に縦横断している。
原則、部外者立入禁止だが知るもんか。
都心の一等地に広大な敷地を占める国立大じゃないか。
”構内に立入ることなくグルリ迂回せよ”―
そんなシャレた文句、傲慢な態度は
お釈迦様も観音様もけっして勘弁しやしねェよ。

普段、散歩する場所は主に台東区と文京区。
台東区なら浅草寺のウラオモテに吉原と山谷。
あとは上野公園・不忍池・御徒町界隈だ。
文京区だと谷根千(谷中だけは台東区)のほかに
湯島・本郷・小石川といった町々である。

去年のクリスマス・イヴ。
「東大中央食堂」で赤門ラーメンを食べたあと、
正門に向かい歩いているとき、この光景に出食わした。

西洋絵画的、パリにでもいるような・・・

おもむろにポケットからデジカメを取り出してパチリ。
モミジの紅葉もさることながら、イチョウの黄葉も実にけっこう。
大自然には紅葉、大都会には黄葉といったところか。

シャッターを切ってほどなく、いきなり頭の中に鳴り響いたのは
♪ ダダダダダダダダーン ダダダーン ♪
「冬の散歩道」のあのイントロでした。