2012年5月29日火曜日

第326話 職務質問されちゃいました! (その4)

軽い気持ちで書き始めた職務質問シリーズ。
気ままに綴っていたら、とうとう(その4)まできちゃったヨ。
オマワリの職質だけに、これがホントの”とオマワリ”。

先週の土曜夜の食事会では
メンバーたち(ブログの読者たちでもある)に相当突っ込まれた。
「早いトコ本題に入れ!」
「結論の先送りもいい加減にしろ!」
へェ、ヘェ、その気持ち、判らんでもねェんですがネ。

よって、急ぎ先へ進む。
真っ昼間から”立ちん棒”が出没する鶯谷に来ている。
だが、ラブホ街には足を踏み入れず、
上野公園へ続く坂道に向かう。

跨線橋下の焼きとん屋、「ささのや」に差し掛かった。
焼き台の周りには早くも立ち飲み客が左手にコップ酒、
右手ではおのおのレバやらナンコツやらを口元に運び、
肉を前歯で串から引き抜いている。
店内に椅子とテーブルの用意があるにも関わらず、
店頭での立ち飲み・立ち食いが醍醐味らしい。
串1本がたったの70円。
確か、店の中も外も同値のハズだ。
ただし座ると、お通し代がかかるんじゃなかったかな?

「ささのや」を素通りし、石段を上って跨線橋を渡る。
ターミナル駅・上野の隣りとあって線路の数が半端ではない。
西陽がレールに反射してまぶしいが
日中の強い陽射しとは異なり、当たりが柔らかい。

橋を渡り切ると鶯谷駅南口。
小さなロータリーの向こうに、これも小さな駅舎が見える。
駅へは向かわず、そのまま道を直進。
日本そばの老舗、「公望荘」の前を
通過せんとしたまさにそのとき、背後から呼び止められた。

「どちらへ行かれますか?」―
振り返れば、30歳くらいの警官じゃないか!
明晰な(?)頭脳が瞬時に状況を把握する。
これはいわゆる職務質問というヤツであろう。
そして、生まれて初めての予期せぬ迷惑を
現在進行形でこうむっているのであろう。

「どういう意味ですか?」―
言葉こそまだ敬語だが
ムッとしているから口調は早くもけんか腰。
そりゃそうだヨ、不振な行動をとった覚えとてない、
罪なき市民が散歩を楽しむ、というより傍目には
道を真っ直ぐ歩行しているだけなんだから―。

「いえ、どちらへ行かれるのかと思って」―
ひるんでいるのがもう見えみえ。
ここはカサにかかって相手のマナコを凝視、この一手だ。
バシッとにらんでやっただヨ。
「総長賭博」んときの若山富三郎みたいにヨ。
するとヤッコさん、視線をスッと外しやがった。
フン、この次点ですでに勝負あり。
さァて、これからこのアンちゃんをどう料理したものだろう。

=つづく=