2014年11月5日水曜日

第962話 ブルースに寄せて (その4)

日本のブルースにおけるマイ・ベストテンのつづき。

「上海ブルース」
 往時の上海情緒が満ちみちている。
 ディック・ミネの声音にピタリと合った。
 ♪ 何にもいえずに 別れたね 君と僕 
   ガーデンブリッジ 誰と見る 青い月 ♪
 惜しむらくは二番までは短かすぎだろう。

「長崎ブルース」
 ♪ 石のたたみを あるいたときも
   二つの肩が 離れない
   ザボンのかおりの うす月夜
   死んでも忘れぬ 恋すがた
   ああ 忘れぬ長崎 ブルースよ ♪
 青江三奈のナンバーでは「池袋の夜」と双璧。
 
「昭和ブルース」
  かなり野暮ったい詞と曲ながら
  それが文字通り、昭和の匂いを放つ。
  天知茂の主演ドラマの主題歌となり、
  Wヒットの恩恵にあやかった。
  聴き比べると、オリジナルのブルーベルがベターかな?

「暗い港のブルース」
  この曲についてはすでに多くを語った。
  どこから見ても聴いても名曲であることに寸分の疑いもない。

ほかにもブルースをタイトルに含んだ曲は多い。
思いつくままに列挙してみよう。

別れの~、雨の~、想い出の~、満洲~(淡谷のり子)、
夜霧の~(ディック・ミネ)、黒い傷痕の~(小林旭)、
新宿~(扇ひろ子)、柳ヶ瀬~、新潟~(美川憲一)、
東京~、博多~(西田佐知子)、加茂川~(フランク永井)、
港町~(森進一)、思案橋~(中井昭・高橋勝とコロラティーノ)、
宗衛門町~(平和勝次とダークホース)、
中の島~(内山田洋とクールファイブ)、
恍惚の~、伊勢佐木町~(青江三奈)、あなたの~(矢吹健)、
受験生~(高石友也)、女の~(藤圭子)、
スニーカー~(近藤真彦)、夜明けの~(五木ひろし)

アメリカのディープ・サウスで生まれたブルース。
綿花畑で労働に勤しんだ黒人たちにより、
ギターで弾き語られたのが発祥ということらしい。
ゴスペルが黒人霊歌ならば、ブルースは黒人哀歌。

そんなルーツを持つブルースだが
日本では独自の道を一人歩き始めて
独特のジャンルを形成するまでに至った。
そう、日本人は哀歌を心から愛するのですなァ。
ご清聴、もとい、ご清読ありがとうございました。

=おしまい=