2015年2月18日水曜日

第1037話 食堂で飲むのが好き (その3)

「巣鴨ときわ食堂」はとげぬき地蔵として
その名を世に知られる、高岩寺門前の地蔵通りにある。
記憶は定かでないが改装後、間口がグンと広くなったから
おそらく隣りの店を吸収合併したのではなかろうか。
繁盛度もさることながら
そのスペースにおいても”ときわ一”と言い切ってよい。

1年半ぶりで訪れたのは昨年末。
2014年も残りわずか数日という年の瀬だった。
以来、このひと月半ほどの間に5回はオジャマしている。
ひとつにここ一ヶ月というもの、
所用で巣鴨に出向く機会が多かったためであり、
もうひとつは当店の魅力をあらためて認識したからでもある。

訪問は常に夜。
したがって晩飯派と晩酌派が適度に混ざり合う、
J.C.にとってはまさに理想的な環境下だった。
老若男女に加えて士農工商のバランスがよく、
客層はきわめて幅広い。
士農工商って何だ! ってか?
いえ、あらゆる職業の客が押し寄せているってこッテス。

年末のその夜は17時半の入店。
店内はかなり立て混んでいた。
家族連れが目立つのは日曜の夜だからだろう。
この時間に揃って外食に及んでいる家族は
「ちびまる子ちゃん」にも「サザエさん」にも無縁の人たちだ。

まず好もしい印象を持ったのは喫煙者が皆無だったこと。
店側が設定した禁煙タイムは
もっともたくさんの客が終結するランチタイムの11時~15時。
したがってそれ以外の時間は喫煙が可なのだ。
にもかかわらず、その夜ザッと見渡したところ煙は立っていなかった。

着席と同時にやって来たお運びのオネエさんにビールを所望する。
アサヒの大瓶が480円と、大衆食堂にあって最安値圏。
うむ、気に入ったぞえ。

つまみや小鉢にハーフサイズというかミニサイズが何品かあり、
これが呑み助にはことのほかうれしい。
呑ん兵衛は小鉢にちょこちょこと手を出し、
助兵衛はオナゴにちょこちょこと手を出す。
硬派・J.C.はもちろん前者、
ミニしらすおろし(130円)とミニポテサラ(210円)をお願いした。

う~ん、けっこうじゃないの、ミニのありがたさを実感する。
実感しながら2本目のビールとミニ冷やしトマト(210円)だ。
トマトはちょうど半個分である。
1個は持て余すが半個は大歓迎だ。

目の前の貼り紙に
”割り箸もご用意してます。お気軽にお声かけください”とあった。
なかなかにシャレた文句じゃないですか―。

=つづく=