2015年7月20日月曜日

第1145話 不思議なパンだヨ 焼きそばパン (その2)

欧米人だったら手を出すのをためらうであろう、
焼きそばパンについて綴っている。

日曜の朝、自宅でブランチ造りに着手。
といってもソース焼きそばなんだけどネ。
スーパーの棚に並んでいるのは
おおむねシマダヤかマルちゃんの蒸し麺だ。
麺の食感、粉末ソースの味からしてシマダヤが好み。

その日もシマダヤの袋を開いた。
野菜庫にキャベツが不在のため、
具材は細切りのピーマンのみである。
冷凍庫には小分けにした豚バラ肉の薄切りが眠っているが
あえて肉抜きでいった。

ソース焼きそばにピーマンだって! ってか?
実はコレ、オカザワ家の伝統。
というか、母親のスタイルなのだ。
はるか昔、長野市きっての繁華街・権堂で
小料理屋を営んでいた彼女は酔客たちの締めくくりに
ピーマン入りの焼きそばを出したそうだ。
キャベツ入りではお祭りや縁日の屋台みたいで野暮ったく、
気に染まなかったらしい。
まっ、一理はありますわな。

フライパンに雪印のラードを引き、中火で念入りに麺を炒める。
この手間ヒマが独特のもっちり感を生み出すから手抜きは厳禁。
炒めながらふと思い出したのが焼きそばパン、そのことだった。

そうだ、パンを合わせてみよう。
とは言うものの、ドッグ用のロールがあるハズもなく、
手持ちは8枚切りの食パンだけである。
よって、トーストを焼いてみた。

焼き上がったトーストにバターをたっぷり塗り、
これまた炒め上がった焼きそばとともに食卓に運ぶ。
もちろん缶ビールと一緒にネ。

モグモグ、うむうむ、けっこうイケるじゃないの。
相性はまったく悪くないネ。
青海苔も振りかけず、紅しょうがも添えない、
シンプルな焼きそばが旨いのはひとえにラードの賜物である。
サラダ油なんか使ったら油臭くて食べられたものではない。

食べながらハッと気づいた。
麺を炒めたラードが雪印製ならトーストに塗ったバターも雪印。
今、わが家の食卓に会いまみえる同僚同士である。
かたや豚の皮下脂肪、こなた牛の乳脂肪、
仲良く手に手を取ってマイ・ストマックに収まりましたとサ。