2017年1月23日月曜日

第1542話 年の瀬の米沢 (その4)

居酒屋「弁慶」のおすすめメニューに気づき、仕切り直し。
印刷ラミネートの定番と違って個性的な品々が並び、
こちらのほうがはるかにそそられる。
紹介してみましょう。

イカ一夜干し(600円)   きくわた(800円)
海老フライ(800円)   ホヤ酒蒸し(600円)
蓮根挟み揚げ(450円)   紅鮭たたき(800円)
ハムカツ(450円)   生ホルモン焼き(600円)
あさりバター(600円)   ふぐ塩辛(600円)
かき酢(800円)   馬刺しユッケ(500円)
ベーコンカツ(450円)   かも汁(600円)
チーズメンチカツ(600円)   イカ沖漬け(1000円)
かもたたき(600円)   レバコンニャク(250円)
鯨ベーコン(1800円)   鯨竜田揚げ(1300円)

ジルシは惹かれたモノである。
きくわたの文字を見てハハ~ンと思った。

「きくわたってのはコレですネ?」―
目の前の白子ポン酢を指しながら問うと、
「そうです、そうです」―店主が応える。

真鱈の白子は地方によっては菊子、
あるいは雲子と称される。
北海道や青森が主産地だが米沢とて東北の一部、
産地が近いだけに質のよいものが手に入るようだ。

それにしてもジルシだらけだ。
これから小宴が待つ身、あまりたくさんは食べられない。
せいぜいあと一品に抑えておこう。

地酒の東光に切り替えたので
何か日本酒に合う小品を選ばねば―。
最終候補に残ったのは
ホヤ酒蒸し、紅鮭たたき、ふぐ塩辛、かき酢であった。

かき好きのJ.C.がもっとも好む食べ方は
かき酢とかきフライだが、それはどこでも食べられる。
ホヤと紅鮭に後ろ髪を引かれながらも
結局はふぐ塩辛に白羽の矢を立てた。

ところがここで外しちゃいました。
イカの刺身みたいな短冊切りのそれは
瓶詰の既製品であるらしく、
アミノ酸等の調味料が主張しすぎるのだ。
まっ、白子が抜の群だったからよしとするかの―。

その夜の宴の会場は居酒屋「I」。
三十数年ぶりで合わせる顔、顔、そして顔。
旧交を温めるのに忙しいのと
重ねる酒盃に追いまくられて
料理にゃほとんど箸をつけなかったとサ。

=おしまい=