週に七つある曜日のなかで一番好きなのは土曜日。
これはもう小学生の頃からまったく変わらない。
最大の要素はピンキラが歌ったように
”明日は日曜”だからであろう。
ところが実際に日曜がきてしまうと、
サザエさん症候群に陥る人々があとを絶たないという。
せっかくの休日なのに翌朝を考えて思い悩むのは
自分で自分の首を絞めてるみたいで実にもったいない。
これじゃ楽しみ半減どころか苦しみ倍増ではなかろうか。
それはともかく、先の土曜日。
季節はずれのポカポカ陽気に気をよくして薄着で出掛けた。
素肌にシャツとセーターの計2枚のみだが
さすがにこれは考え甘すぎ。
日なたはよくとも日かげに入るとかなり肌寒い。
年寄りの冷や水と揶揄されても仕方ないいで立ちながら
別段、ツラいわけでもなし、
スティーヴィー・ワンダーよろしく
太陽の当たる場所を選びながら
かまわずズンズン歩みを進める。
起点はJR京浜東北線・上中里駅。
平塚神社から古河庭園を行き過ぎて霜降橋、
駒込駅改札前のガードをくぐり、アザレア通りを南下する。
そうして到達したのは動坂下だ。
ここから進路を東にとれば田端駅方面。
西にとって坂をのぼると本駒込である。
どちらも選択せずに不忍通りを真っ直ぐ南へ。
やがて道灌山下の交差点だ。
ここでちょいとそれ、よみせ通りから谷中銀座に入った。
夕陽の名所、夕焼けだんだんを上がり、
谷中霊園を突っ切ってゆく。
台湾の珍果、愛玉子を供する茶舗を
左に見ながら言問通りを横断した。
フレンチの老舗「ペペルモコ」にやって来たが
店頭で迷ったネ。
なんとなれば、当日のランチメニューが
実に魅力あふれるものだったからだ。
魚料理がエイ(カスベ)、肉料理は仔羊、
どちらもマイ・フェイヴァリットである。
逡巡することしばし。
結局は薬局、後ろ髪を引かれながらも看過を決断した。
ツレがいなけりゃ両方同時に味わうこと能わず。
どうせなら一石二鳥を狙いたいもんなァ。
=つづく=