2018年4月17日火曜日

第1851話 旨くも何ともミックスづけ丼

週末の朝だった。
かつての部下から電話あり。
すばらしい和食店を見つけたとのことだ。
なんでもN県人会御用達らしい。

さっそく、その日のレイトランチに赴いてみた。
文京区・動坂下にその店はあった。
「魚我志 むさし」という。
魚我志は”うおがし” と訓ずるのだろう。

ビルの2階に上がって入店。
先客は1組ながら8名ほどのご婦人がかしましい。
いわゆるママともたちは子どものハナシで花盛り。
泣く子と地頭とチャイナとママともには勝てんわ。
いや、マイッたな、もう。

ランチタイムの主力メニューはづけ丼である。
づけは江戸前鮨の仕事で
まぐろの赤身を煮切り醤油に漬け込んだもの。
づけ丼はそのづけを酢めしの上に並べたものだ。

昼は軽めに済ませたいタチだから
それだけでじゅうぶんだが
丼一つでは店の力量をはかりかねる。
よってづけ丼が組み込まれた、むさし膳(1400円)をお願い。
キリンラガーの中瓶(500円+)も忘れずにネ。
食事は内税、飲みものは外税のようだ。

さて、むさし膳の陣容である。

冷し鉢(白身魚しんじょ・花豆・カリフラワー・菜の花)
出汁巻き玉子 茎わかめ炒め煮山椒風味
茶碗蒸し(蟹・しいたけ・銀杏)
ぶり大根(こんにゃく・小松菜)
サラダ(大根・うるい・デトロイト)
香の物(つぼ漬け沢庵・野沢菜・キャベツ浅漬け)
焼き麩・わかめ赤出汁
づけ丼(桜ます・ほっけ・わらさ)

豪華絢爛といってよい。
脇役の小鉢類はいずれも水準に達している。
問題は主役のづけ丼だった。
たまり系の醤油を使用しているから
見た目はみな同じでほとんど真っ黒、区別がつかない。

お運びの女性に訊ねても即答できなかった。
厨房から戻った彼女の応えが上記3種のサカナたちだ。
それぞれ味わってみたものの、なお違いが判らない。
いずれがホッケ? サクラマス?
おまけにちっとも美味しくない。
ちなみに当店は鮨屋じゃないから酢めしではなく白飯である。

サカナは日替わりだが言ってみれば前夜の余りもの。
前夜の余りモノが言い過ぎなら前夜からの贈りもの。
早いハナシが”賄い” ですな。
でなきゃ高級魚の桜ますは使えないだろう。

夜に再訪して一飲に及ぼうかな?
どうしたものかな?
こういうのって結局は行かないんですよネ。

「魚我志 むさし」
 東京都文京区千駄木4-7-15朝日動坂マンション2F
 03-3823-4634