台東区・小島の「幸楽」。
ラーメンと半ナシゴレンのセットを前にしている。
ラーメンのスープがもの足りない。
中太ちぢれの多加水麺も
歯による咀嚼を逃れようとするタイプ、好みではない。
どんぶりを半分食べ進んで、おもむろにナシゴレン。
ふむ、味付けは中辛にして甘みもある。
ジャポニカ米のナシともども
日本人向けにアレンジした痕跡が残り、
本場の味に比べるべくもナシ、ゴレン。
この料理に必須の調味料、
サンバルもほとんど使われていない。
仕上げの決め手、トラシ(蝦醤)にいたっては
まったく感じないから、いっそのこと、
ドライカレーかカレーピラフのほうがいいくらい。
先述の稲荷町「紅楽」が
週一ペースで日替わりセットに組み込む、
半カレーチャーハンに遠く及ばない。
ナシゴレンには苦い思い出がある。
1970年代半ば、ロンドンにいた頃の友人に
インドネシア人のイワンがいた。
どこで知り合ったか明確な記憶はないけれど、
当時のGFが彼はフランス人、
こちらはイタリア系フランス人だったから
女性同士が友だちだったのかもしれない。
いや、たぶんそうだろう。
或る日、イワンとウエストエンドへ映画を観に行った。
高倉健&ロバート・ミッチャム主演の「ザ・ヤクザ」だ。
月刊映画誌の表紙を飾っていたのは健サン。
長脇差(ドス)を抜きはらった着流し姿がキマッてた。
誌面の論評に
”ラストの血闘シーンは見逃すべからず”
そうあったのを覚えている。
映画を観ての帰り途。
当時、J.C.は盟友と共同で在留邦人向けの
小さなサロンを営んでおり、食事も提供していた。
空腹を満たすために立ち寄り、
ジャパニーズ・ナシゴレンといって五目炒飯を振るまった。
チャイニーズ・フライドライスとの違いを問われ、
似たようなものサと応じたっけ。
食べ始めた奴サン、二口、三口でフォークを置いたネ。
「こんなにスティッキー(ベタつく)なライスは食えない」
意想外のリアクションにとまどいながら
料理担当に焼きそばを作ってもらった。
日清食品だったかな? 袋麺のソース焼きそばを―。
ナシゴレンからミーゴレンに転ずると、
今度は歓んで食べるじゃないか。
完食後、ニッコリ笑ってひと言。
「このソースがイケるネ、ジャカルタにはない味だ」
「ほうら見ろ、日本をナメるなヨ」
楽しかった青春時代のひとコマでした。
「幸楽」
東京都台東区小島2-1-3
03-3866-5900
ラーメンと半ナシゴレンのセットを前にしている。
ラーメンのスープがもの足りない。
中太ちぢれの多加水麺も
歯による咀嚼を逃れようとするタイプ、好みではない。
どんぶりを半分食べ進んで、おもむろにナシゴレン。
ふむ、味付けは中辛にして甘みもある。
ジャポニカ米のナシともども
日本人向けにアレンジした痕跡が残り、
本場の味に比べるべくもナシ、ゴレン。
この料理に必須の調味料、
サンバルもほとんど使われていない。
仕上げの決め手、トラシ(蝦醤)にいたっては
まったく感じないから、いっそのこと、
ドライカレーかカレーピラフのほうがいいくらい。
先述の稲荷町「紅楽」が
週一ペースで日替わりセットに組み込む、
半カレーチャーハンに遠く及ばない。
ナシゴレンには苦い思い出がある。
1970年代半ば、ロンドンにいた頃の友人に
インドネシア人のイワンがいた。
どこで知り合ったか明確な記憶はないけれど、
当時のGFが彼はフランス人、
こちらはイタリア系フランス人だったから
女性同士が友だちだったのかもしれない。
いや、たぶんそうだろう。
或る日、イワンとウエストエンドへ映画を観に行った。
高倉健&ロバート・ミッチャム主演の「ザ・ヤクザ」だ。
月刊映画誌の表紙を飾っていたのは健サン。
長脇差(ドス)を抜きはらった着流し姿がキマッてた。
誌面の論評に
”ラストの血闘シーンは見逃すべからず”
そうあったのを覚えている。
映画を観ての帰り途。
当時、J.C.は盟友と共同で在留邦人向けの
小さなサロンを営んでおり、食事も提供していた。
空腹を満たすために立ち寄り、
ジャパニーズ・ナシゴレンといって五目炒飯を振るまった。
チャイニーズ・フライドライスとの違いを問われ、
似たようなものサと応じたっけ。
食べ始めた奴サン、二口、三口でフォークを置いたネ。
「こんなにスティッキー(ベタつく)なライスは食えない」
意想外のリアクションにとまどいながら
料理担当に焼きそばを作ってもらった。
日清食品だったかな? 袋麺のソース焼きそばを―。
ナシゴレンからミーゴレンに転ずると、
今度は歓んで食べるじゃないか。
完食後、ニッコリ笑ってひと言。
「このソースがイケるネ、ジャカルタにはない味だ」
「ほうら見ろ、日本をナメるなヨ」
楽しかった青春時代のひとコマでした。
「幸楽」
東京都台東区小島2-1-3
03-3866-5900