2020年9月9日水曜日

第2477話 鶴見はキリンのお膝元 (その1)

三重県在住ののみともが出張で上京してきた。
上京といっても鶴見がシゴト場だから神奈川県・横浜市。
”上浜”というのが正しい。
夜には新幹線で帰る彼のため、早めに仕掛けた。
16時半の現地集合だが、J.C.の仕掛けはもっと早く、
14時半にはJR京浜東北線・鶴見駅に降り立つ。

京急鶴見を含めて駅界隈の散策及び、
一人0次会を目論んでいた。
改札を抜けると、出し抜けに驟雨。
雨粒がアスファルトをたたいてしぶきを上げている。

雨宿りを兼ねて「とんちゃん 鶴見本店」に駆け込む。
この雨じゃ、店の品定めなんぞしてられない。
あとで判ったが、この焼きとん屋は「韓の台所」なる、
焼肉チェーンを営むフードリムなる会社の傘下だった。

ビールは生・瓶ともにスーパードライ。
鶴見といえば、隣りの生麦にキリンの工場がある土地柄。
そのお膝元でアサヒとはいい度胸だ。
もっともそれを言ったら
浅草の「正直ビヤホール」はサッポロ、
大衆割烹「志ぶや」はキリンだもんネ。

エニウェイ、中生をお願い。
カンカン照りに飲むビールはもちろん美味いが
ドシャ降りに飲むビールもまた美味い。
早いハナシがいつでもどこでも美味いんだ。

若い時分に大好きだったビールだが
30~50代はそんなに飲まなかった。
それが還暦を過ぎて、今じゃほとんどビール一本。
ホントに昔に還っちゃってるヨ。

このあとは中華料理屋で落ち合う手筈。
焼きとんを抑えめにしとかなければ―。
カシラを塩、レバーとオッパイをタレで通した。

串はみな大ぶりだ。
最初のカシラは肉汁タップリにして適度な柔らかさ。
これは期待できると思ったものの、
レバーは火を通し過ぎてパサつく。
ヒドかったのはオッパイで筋の除去が不十分。
今まで食べたオッパイ中、”最硬”のものだった。

生のお替わりと一緒にシロをタレ、鳥モモを塩で―。
シロは下茹でが浅くクニュクニュ感が強い。
モモ肉はまずまずながら、
炭火の、もっと中心の火力でカリッと焼いてほしい。

当店の特筆は甘じょっぱさ際立つ濃いタレ。
J.C.は昭和30年代から焼きとんを食べてるが
当時のタレにクリソツ、懐かしさも味のうちだ。
それにしてもオッパイの硬さにはマイッた。
豚のオッパイは人間のそれより硬いものなのか―。
ひょっとしたら乳がんを患ってる豚かもしれんネ。

=つづく=

「とんちゃん 鶴見本店」
 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央1-32-7
 045-502-7993