かつては城北の三業地として
池袋をしのぐ繁栄を誇った大塚にやって来た。
都内随一の酒亭「江戸一」の営業再開を確かめ、
さて、これから昼めしである。
訪れたのは「洋食 GOTOO」、2010年の夏以来だ。
曜日替わり(900円)のお楽しみランチは
とろとろオムライスにつき、看過。
とんかつやらハンバーグやらミックスフライが並ぶなか、
豚生姜焼き(950円)に白羽の矢を立てる。
ずいぶん立派な一皿が整った。
特徴的なのは中央やや向こう側に
こんもりと盛られた繊細な繊切りキャベツ。
他店の倍以上はあるな。
ドレッシングが少々かかり、
脇にマカロニサラダが添えられている。
居酒屋のお通しで出る、
愚にもつかない出来合いではなく自家製だ。
わかめの味噌汁は煮干し出汁。
洋食店で煮干しとは首をひねりたくなるが
まっ、旨けりゃいいんだよネ。
卓上の鉢には葉唐辛子&きゅうりの醤油漬け。
肝心かなめの生姜焼きはとてつもない優れモノ。
脂身の少ない肩ロースが6枚。
肉質よく味付けよく二重丸を進呈したい。
生姜焼きといえば、ひと月前。
神田駿河台はニコライ堂の下、
「すずのおむすび」にて
庄内豚ぶーみんをいただいたが
この逸品と甲乙つけがたし、いや、実に―。
何事にも隙(すき)を見せない「GOTOO」だが
唯一、指摘を免れないのはライス。
質・量ともに標準的で
もうちょいビシッと炊き上げてほしい。
とはいえ、欠点というほどではない。
13時になるのに客足が絶えない。
近隣の会社によるテイクウトもひんぱんだ。
それもけっこうまとまった数が―。
見たところ、注文の7割はとろとろオムライス。
隣りのOLサンを盗み見ると、
薄焼き玉子で包むのではなく、
ケチャップライスにふわっとかけるタイプ。
寝入ってしまったわが子に
ママがブランケットを優しく掛けるように―。
秋の深まりとともにカキフライが始まる予定。
次回はそれをつまみにビールを飲んで
冒頭の「江戸一」に繰り出すとしましょう。
楽しみだなァ。
「洋食 GOTOO」
東京都豊島区南大塚3-54-1
03-3983-0613