旧友が千葉の内房から出て来た。
N田クンは高校一年のクラスメート。
ラグビー部の彼とサッカー部のJ.C.は
放課後のグラウンドで隣り同士。
教室を出ても毎日顔を合わせたものだ。
7年ぶりの酌交は「三州屋 飯田橋店」。
地番でいう飯田橋は千代田区ながら
此処は新宿区・下宮比町。
まっ、JR飯田橋駅が目と鼻の先にあるけどネ。
当店のビールはサッポロの赤星か黒ラベル。
黒ラの大瓶を注ぎ合ってグラスをカチン。
お通しはにんじん&もやしの炒め煮。
切り干し大根をもやしで代用したようなヤツだ。
けして感心しないが不味くはなかった。
さて、つまみの吟味。
おっと、此処はテーブルに品書きがないんだ。
しかも入口近くの壁は全品載っていない。
「しょうがない、奥まで見に行くか?」―うながす。
「適当に見繕ってくれ」―N田が応えた。
セリの辛子和えを通しておいて、めじまぐろを―。
残念ながら今日はまぐろだけとのこと。
めじは本まぐろの青春期。
いわばツナのティーン・エイジャー。
数日前の「天庄」も未入荷だったっけ。
この時期ともなれば、はえ縄を逃れて命拾いした、
若きまぐろはみな大人に成長したらしい。
同慶の至りなれど、とどのつまり、
とっ捕まって食われちまう運命なんだ。
まぐろの命は短くて美味しきことのみ多かりき
仕方なく、かつおに切り替えると、これもナシ。
白身の揃えを訊ねても本日は真鯛のみ。
結局は振り出しに戻り、まぐろ刺し。
都内に散在する「三州屋」の名物、
銀むつの照り焼きもお願いした。
中トロのまぐろは脂ノリノリ。
大ぶりが8切れあり、J.C.は2切れでイナッフ。
あとは食の太いN田にオッツケる。
彼はビールを2杯干し、常温の白鶴にスイッチ。
こちらはしばらくビールで通す。
出会いから半世紀のオールドフレンド同士は
渡辺真知子じゃないけれど、
現在・過去・未来、まったく話題にこと欠かない。
久方ぶりの美酒、快話に笑いも絶えない。
師走に年忘れの酌交を約し、
酒類提供の制限時間いっぱいでお開きとした。
「三州屋 飯田橋店」
東京都新宿区下宮比町1-7
03-3267-2465