それにしても白鵬のいない土俵はつまらん。
真っ当な力士は照ノ富士くらいしかおらん。
貴景勝がそこそこ好調ながら
昨日の遠藤戦も薄氷を踏む土俵だった。
押し相撲には限界があって
大成は難しいし、短命に終わることが多い。
同8日目、まげをつかまれて命拾いしたが
反則が犯された時点で相撲を止めなきゃネ。
土俵際の出ない出たは止められないが
まげは誰の目にも明らかだ。
行司も勝負審判も勉強し直しなさい。
しょうがないからウチへ帰って
相撲でも観ながら飲み直そう。
そう思い、サカナのデパート「吉池」に立ち寄る。
すると、期待だにせぬ逸品に遭遇。
松葉蟹のメス、背子蟹(香箱蟹)は
兵庫県・香住の産だ。
オスに比べてサイズは5分の1程度。
食べにくさは半端じゃないが
キレイに殻むきされ、甲羅にビシッと納まっている。
ミソも内子もバッチリだ。
¥1800+税と、文字通りゼイ沢だが迷わず購入した。
ふと脇のポリバケツをのぞいたら
20匹ほどの蟹が蠢(うごめ)いてるじゃないか―。
これは藻屑蟹、北海道は石狩川生まれである。
100g当たり¥500+税だったかな?
背子よりさらに可食部分が少なくとも
味噌汁にはじゅうぶん、1匹買った。
その夕べはメスの松葉が晩酌の相方。
銀座のclub のホステスの代役は
日本海のcrab のホステスと来たもんだ。
生酢にホンちょい生醤油を垂らすのが
J.C.流の蟹の食べ方。
蟹好きだった母親のスタイルで
子どもの頃からずっとこれだった。
一方の藻屑チャンは大きな鍋に浅く塩水を張り、
一晩飼ってみたが元気いっぱい。
ちょっかい出したりすると、
両のハサミを大きく開いて
飼い主を威嚇(いかく)する。
その姿は制限時間いっぱいの琴奨菊そっくり。
琴バウアーならぬ、蟹バウアーそのものなり。
翌晩、いきなり味噌汁ではなく
10分少々蒸してみた。
けっこう食べ出があって美味いのなんのっ。
残骸は昆布だしを加え、味噌汁に―。
背子と藻屑、どちらも実に美味かったんだガニ。
藻屑のほうはちょっと可哀相だった。
たった一晩で情が移ってしまい、胸が痛んだ。
活きた蟹を蒸したり茹でたりはもうよそう。
生きものをもっと大切にしよう、心に決めました。
「吉池」
東京都台東区上野3-27-12
03-3831-0141