やれ振込みだ、やれ引き出しだと
銀行に用事ができると
ほぼ毎度、北千住にやって来る。
口座を持つ3つの銀行がすべて
10m四方に建ち並び、便利だ。
用事を済ませ、昼飲みのお時間。
行きつけの「幸楽」に来たら
なぜか店が閉じている。
本日休業らしい。
ヨソに廻ろう。
ふと、思いついたのは
東武伊勢崎線で2ツ目の五反野。
ここにも「幸楽」がある。
「渡る世間は鬼ばかり」の舞台も
「幸楽」だが、あちらは町中華。
北千住と五反野は大衆酒場だ。
「幸楽」にフラレて「幸楽」に
流れるのもまた一興なり。
先日も行きつけのスタジオで
幸楽に逢ったばかりだしネ。
おっと、アレは好楽師匠でした。
伊勢崎線のプラットフォームへ。
ありゃ、電車が行ったばかりだヨ。
けっこう待たなきゃならない。
J.C.は待つのが嫌いである。
荷物を持つのも大嫌いだ。
”待つ”のと”持つ”のが
二大苦手分野である。
一計を案じ、階段を降り昇り。
逆方向の浅草行きに乗った。
「幸楽」をあきらめた瞬間だ。
行く先は決めてないが
どこでもいいやという気分。
4ツ目の東向島で下車した。
元の駅名は玉の井。
永井荷風の名著、
「濹東奇談」の舞台が此処である。
大正通りを西に歩く。
「柏屋食堂」の暖簾が見えてきた。
最後の訪問はいつだったっけ?
帰宅後、調べたら2006年8月。
19年ぶりである。
朝7時に開けるが昼過ぎには閉店。
ちゅうちょなく敷居をまたいだ。
見覚えのあるオバちゃんが
立ち働いている。
往時、この人は娘だった。
「おかずが少なくてすみません」
そう言いながらペコリと
頭を下げるのが常。
好い印象が今も残っている。
アルコール類は出さない、
という貼り紙が1枚。
以前はこうじゃなかったがネ。
まっ、いいでしょう。
我慢しよう。
小皿のおかずは客が勝手に択ぶ。
ピーマンのベーコン巻きと
イカフライを差し出し、
電子レンジで温めて貰う。
半ごはんと味噌汁で700円。
味はそれなりだが
相変わらず安いや。
駅に戻り、浅草へ向かう。
あ~あ、今日もまた、
ドライ大瓶と電氣オールドに
なりそうな気配であります。
何せまだ、しらふですから。
「柏屋食堂」
東京都墨田区墨田1-5-14
03-3611-3055