2025年9月24日水曜日

第3891話 松風騒ぐ 根津の町

この日の昼もまた文京区・根津。
「蕎麦 松風」を初めて訪れた。
♪ 松風騒ぐ 丘の上 
  古城よ独り 何偲ぶ ♪
三橋美智也の歌声が
聴こえてきたけど浪花の小姑が
ぶつぶつ云うのでやめとく。

毎日のように正午には
数人の列ができ、
彼らの肩越しに中をのぞくと
席数は15席あるかないか、
小さな店である。

ビールはキリンラガーの生のみ。
まずは通して品書きの吟味だ。
わさび茎醤油漬けを見つけ、
笑みをもらして即注に及ぶ。

この一品が優れモノ。
立派な茎だから
本体のわさびは五年物、
いや、七年物かも知れない。

板わさも行っちゃおう。
鈴廣か籠清と推察される、
良質なかまぼこに
おろし立てがタップリ。
結構な量のわさび漬けも
添えられていた。

生は2杯目、すぐ3杯目。
わさ茎も板わさもまだ残っている。
山形の銘酒・鯉川を冷たいので
お願いすると常温だけだという。
いいでしょう、いただきましょう。

締めそばはすでに決めてあった。
ピンク・グレープフルーツの
冷やかけというヤツだ。
どんなのが出て来るのか
興味津々もいいところ。

でもネ、見てみてガッカリ。
ピンクというよりルビーが
半月形にスライスされ、
10片もそばに乗って来た。
夏によく見るすだちそばの
グレープフルーツ版だ。

夢破れて山河あり。
障子破れてサンがあり。
もりそばにしとけばよかった。
細打ちのそば自体はいいので
許す、赦す、J.C.はユルす。
お勘定は6300円でした。

「蕎麦 松風」
 東京都文京区根津2-37-12
 03-6882-0842