2015年11月10日火曜日

第1226話 YOKOHAMA is Beautiful ! (その10)

横浜・野毛町の「もつしげ本店」。
塩煮込みに七色をふりかけて食した。
以前、某月刊誌で煮込みの連載を担当したことがあり、
その時期に食べすぎたせいか、
最近は必注品目から外すようになった。
食傷気味といったところかな?

さて好物の焼きとんに移行である。
生産量の少ない希少部位から攻めてゆく。
ボヤボヤしてると売り切れちゃうからネ。
よって最初に注文したのがこの2種。
左がハツモト、右がツナギ
ハツモトは心臓近くの大動脈、
ツナギは心臓と肝臓を継ぐ管らしい。
塩焼きで頼み、素材の持ち味を楽しむと、
どちらもなかなかの焼き上がりだ。

ドリンク・メニューに生マッコリを見つけ、オーダーしてみる。
グラスでお願いしたつもりが実際はボトルできた。
容量は600mlもある。
日本酒を苦手とする相方は焼酎ならいけてもマッコリはダメ。
ちょいと多いような気もしたが大した量でもないし、
やっつけちゃうか・・・。
そう思いつつ、飲み始めた。

焼きとんのシロをタレで追加する。
ついでにレバーもタレだ。
やはり何だかんだ言っても焼きとんはこの二つが双璧。
と思いきや、なぜかレバーは鶏だった。
焼き鳥屋でもレバーは必食につき、文句はない。

野毛でハシゴという手もあったが当夜は1軒で東京に戻る。
夜更けてからの電車で帰るのは気がすすまないからネ。
とにもかくにもハマの街々はいつ訪れてもビューティフル!
冬が来る前にまたやって来よう。

JR京浜東北線・御徒町駅で下車。
上野広小路の隠れ家にてイタリアの赤ワインを飲んでいて
先刻、横浜で遭遇したA子からのメールに気づいた。
アラアラ、3時間前の着信じゃないか!
「野毛でまだ飲んでらしたらワタシたちもジョインさせてください」―
何てこったい、時すでに遅し。
気づかぬこちらもこちらなれど、
その気だったら出合ったときに言えばいいものを―。

ところで「もつしげ」のデータを検索していて驚いた。
てっきり野毛に2店だけだと早合点していたら
ここは一種のチェーン店。
横浜市南区の「天龍」なる焼肉店の直営で
あちこちに姉妹店が存在していた。
ちょいと鼻白む思いをしたが
YOKOHAMA is still Beautiful !
ぞなもし。

=おしまい=

「もつしげ野毛小路店」
 神奈川県横浜市中区野毛1-41-3
 045-262-0298

2015年11月9日月曜日

第1225話 YOKOHAMA is Beautiful !(その9)

♪   追いかけてヨコハマ
  あの人が逃げる
  残した捨てゼリフに
  誰か見覚えはありませんか
  追いかけてヨコハマ
  あの人がいつも
  この街をほめたことが
  裏切りの手がかりです  ♪
    (作詞:中島みゆき)

1977年にリリースされた「追いかけてヨコハマ」は
桜田淳子と中島みゆきのコンビネーション。
同コンビによる「しあわせ芝居」には及ばぬものの、
心に響く印象的な佳曲だった。

大好きな横浜の、大好きな野毛町の夕まぐれ。
元部下推薦の「もつしげ本店」でビールを飲み始めたところだ。
サービスなのか有料なのか見当がつかないが
辛味噌を添えた生キャベツがともにやって来た。

会計時に判明したが250円でお替わり自由だったみたい。
若者たちには人気の様子で値段も安いし、
チェーン居酒屋の愚にもつかぬ有料突き出しよりはマシだろう。
よって目クジラをたてるのはよす。

でもこれってちっともうれしくないんだよねェ。
そりゃトンカツやカキフライのお供の繊切りキャベツはありがたい。
だけど玉から1枚1枚はがされたのは好きじゃない。
もうちょっと細かい配慮があっていいんじゃないの。

例えば日本橋「たいめいけん」の酢油キャベツ。
あるいは神楽坂「駒安」のキャベジン。
一手間加えるだけで食味のよさは倍加し、
存在感も増すのに残念だ。

気を取り直して当店の名物らしい塩煮込みを所望した。
見た目はアッサリ風
ところが実際はコッテリだった。
使用されているのは牛のシマ腸。
腸壁にビッシリと脂の付いたシロコロと呼ばれるヤツである。
われわれは好まぬけれど、好きな御仁にはたまらんだろうネ。

このタイプのもつ煮込みに出会うと、
瞬時に連想されるのが深川は平久小学校前の「河本」である。
ホッピーと煮込みがウリの店で
こちらは味噌仕立てだが脂肪の塊は
「もつしげ」の比ではないほどにビッシリ。
冬場、すきま風の中では急いで食べないと冷めてしまい、
それこそ手に負えなくなる。

とにかく「もつしげ本店」の塩煮込みを
ビールで流し込むようにやっつけた。

=つづく=

2015年11月6日金曜日

第1224話 YOKOHAMA is Beautiful ! (その8)

ほどなく灯ともし頃を迎える港町・横浜。
元直属部下のA子とバッタリ遭遇したのだった。
10年近く前にも数寄屋橋の書店で同じことがあったから
これが二度目である。

彼女の同伴者は男女一人づつ。
紹介されると、女性は上方から遊びに来ている友だち、
男性は現在のダンナであった。
現在の、ということは、以前のダンナではない。

三年半前にA子と飲んだときは
前のダンナとシアワセな日々を過ごしていたハズ。
余計なお世話ながら、身軽なモンだなァ。
いや、実に若いオンナの実生活は波乱に富んでるんだねェ。

そのA子、J.C,を今のダンナに紹介した際、
「元上司でワタシにお酒の飲み方教えてくれた人なの」―
言うに事欠いてトンデモないことを言いいやんの。
こちとら冷や汗かいちまったじゃないか!

それはともかく、
「野毛に行くんだったら『もつしげ』に寄ってみてくださいな」―
焼きとん好きもちゃあんとお見通しであった。
マイッちゃうなもう。
立ち話もほどほどに近々の再会を約して別れた。

野毛の町はJR桜木町駅をはさんで
みなとみらいの反対側に拡がっている。
横浜に来たときは中華街に行かなくとも
野毛を訪れぬことはまずない。
それほどに愛着を持っているのだ。

A子のオススメに従って「もつしげ」を探し当てた。
本店と2号店が向かい合っている。
ここは本店でしょ。
東京の下町に散在する焼きとん屋の雰囲気とは異なり、
好きなタイプの店舗ではなかったが
とにかく入って飲んで食べてみなけりゃ始まらない。

あいにくカウンターは満席。
相方のM代サンと二人、小卓に落ち着いた。
江戸前の鮨・天ぷらは絶対にカウンター。
酒場でも居酒屋でもラーメン屋でさえも
カウンターに座るのが好きだ。
まっ、今宵は致し方あるまい。

日本のビール生誕の街にしてキリン発祥の地、横浜。
ほとんどの飲み屋がキリンしか置かない。
この点、アサヒの浅草とまことに対照的。
よってキリンラガーで乾杯と相成った。
郷に入れば郷に従うほかに手立てがないのだ。

=つづく=

2015年11月5日木曜日

第1223話 YOKOHAMA is Beautiful ! (その7)

横浜の山下公園で船を見ながら語らい、
しばし過ごしたあとである。
吉幾三の名曲「横浜」の歌詞の通りに

 ♪   夕陽が傾く 横浜桟橋
   海鳥鳴いてよ 私と一緒に ♪

時は流れてそんな情景となった。
いつまでも公園でのんびりとしていられない。
一日のうちで一番好きな時間帯がやってきた。
今宵は何処で飲もうか・・・。

手っ取り早いのはすぐ隣りにロケートする中華街ながら
どうもチャイナタウンのチャイニーズはいま一つ満足度が低い。
関内駅への道筋に何軒か心当たりはあるものの、
さっき歩いてきた道をそのまま戻るのはシャクだ。

やはりここは横浜の浅草、
美空ひばり所縁(ゆかり)の街、野毛に繰り出すしかあるまい。
それが最善のチョイスであろうヨ。

でもって相方と薄暮の街を歩き始める。
神奈川県庁の手前あたりかな・・・
いきなり声を掛けられた。

「オッカザワさ~ん!」
「エッ?」
ちょいと間が空いて
声の主がこちらに向かって速足。
「A子ですっ!」
「おぉ、A子かっ!」

どことなく劇画、あいや、漫画チックだネ。
ともあれ、バッタリ出会ったのは
元部下のA子だったぞなもし。

何年ぶりの再会だろうか・・・。
そうだ、このブログでも紹介したことがあった。
探し当てたのでおヒマでしたらどうぞ!
http://ikiru-yorokobi.blogspot.jp/2012/03/273.html

おおよそ3年半ぶりになる。
とにかくあまりの偶然に法要、
もとい、抱擁まではしなかったが握手はした。
そしてその直後の発言にビックリだ。

「オカザワさんはこれから野毛で飲むんでしょ?」
まさにピンポ~ン!であった。
何で判るんかいな。
コイツは超能力の持ち主かいな。

我に返ってよくよく背後を見れば、彼女は三人連れだった。

=つづく=

2015年11月4日水曜日

第1222話 YOKOHAMA is Beautiful ! (その6)

アップしたつもりが下書きのままで失礼しました。
よって遅ればせながら―。

料理のデキはともかくも内装・雰囲気は格別。
栄華を極めた、ハプスブルグ家の館に招かれた、
そんな気分にさせてくれた「アルテ・リーベ」だった。
 
明るい陽射しの下に戻り、はて、どうしよう。
久しぶりの再会をはたした相方である。
「ハイ、さようなら」―そんなわけにはゆくまい。
晩酌、あるいは晩飯をともにする覚悟で逢っている。
先方も同じ腹積もりだろうヨ。
 
 時刻はまだ15時、夕陽が傾くまであと2時間は要する。
どこへ行こうかな?
候補地は数限りない。
元町・中華街・山下公園・大桟橋・伊勢佐木町・
港の見える丘公園・外人墓地・野毛町・野毛動物園・・・・。
思いはちりぢりに乱れるのだ。
 
こんなときはレディーの意向に従うのがエチケット。
そう致すと、ご要望は山下公園ときたもんだ。
まあ、当方に異存はございやせん。
 
今は昔の1970年代。
デートの会場となると東京は日比谷公園、
横浜なら山下公園、
二つの公園には本当にお世話になった。
心のふるさと我が母園、決めつけても問題はない。
 
「アルテ・リーベ」から山下公園までは歩いて10分足らず、
素直に仰せに従うことにした。
港に面したベンチに二人並んで海を見ている。
すると、このシリーズの初めに紹介した、
平山三紀の「ビューティフル・ヨコハマ」がよみがえってきた。
そういえば2番をパスしたんだっけ・・・。
 
 ♪   ヨコハマ ヨコハマ 明日は雨が
   ヨコハマ ヨコハマ 降ったらいいわ
   踊り上手な ハルオにゼンタ
   トモコの彼も スウィングしてる
   わたしの好きな あの人は
   港で船を 見ているわ
   ラララ ララララ
   ビューティフルな お話しね ♪
      (作詞:橋本淳)
 
何となく気がかりで小骨がノドに刺さった気分。
批難覚悟で紹介しちゃった。
よってスッキリの巻である。
まっ、そんなこって右手に氷川丸、
左手におそらくどこか欧州の豪華客船、
二人は

 ♪   港で船を 見ているわ 
   ラララ ララララ 
   ビューティフルな  ♪

かどうかは、これからの成り行き次第と相成った。
 
=つづく=

2015年11月3日火曜日

第1221話 YOKOHAMA is Beautiful ! (その5)

例によってハナシは脇にそれ、
美食家・ロッシーニの名前を冠した牛フィレステーキである。
フィレ・ド・ブッフ・トゥルヌド・アラ・ロッシーニのトゥルヌドは
英語でトルネード、日本語で竜巻のことだ。

1995年、野茂英雄がメジャーリーグにデビューしたとき、
ホームベースに背中を見せて回転するトルネード投法は
全米の注目を集めた。

牛のフィレ肉の周りををベーコンで包み、
丸く成形したそのカタチが竜巻を連想させるのだ。
仕上げにかけられるソース・ペリグーは
食材のフォワグラと黒トリュフが
フランスのペリゴール地方の名産だからである。

「アルテ・リーベ」のランチであった。
最初に運ばれたのは緑のトマトとフリルレタスの小さなサラダ。
緑のトマトは珍しい。
祐天寺の門前にあった「ビストロ・ポン・レベック」で食べたのが最後、
もう7年も以前になる。

続いて真鯛が登場した。
真鯛のクレープ包みには2種類のソース
下地の白いのはブール・ブラン。
赤は甲殻類の香りがしたからおそらくアルモリケーヌであろう。
アッサリと食べられたがパンチ力の不足を感じる。

そして本日のメインのハンバーグだ。
ハンバーグが見えない
それもそのハズ。
3グラムと6グラム、黒トリュフの量が選べるところ、
豪勢に6グラムをお願いしたからネ。

肝心の味のほうだが質のせいだろうか、イマイチ香りが薄い。
ペリゴール産の高級品ではないらしい。
北イタリアはアルバの白トリュフとは比べるべくもないけれど、
多少の不満が残った。

本体のハンバーグにしても粗挽きの牛肉が主張するものの、
ジューシーさに乏しく、洋食の優良店のレベルに達していない。
食べながら浅草は観音裏の名店、
「ニュー王将」のソレを思い出していた。

「アルテ・リーベ」はこの横浜店が本店。
東京の新橋に支店があって、あちらはワイワイガヤガヤのなか、
ミュージックも楽しめる。
早いハナシ、新橋はビヤホールで横浜はクラシカル・レストラン。
本店は結婚式の披露宴にも力を入れており、
それなりの荘重な雰囲気を備えている。
まっ、どちらにしても料理の水準はそこそこなのである。

=つづく=

「アルテ・リーベ」
 神奈川県横浜市中区日本通11
 050-5787-1949

2015年11月2日月曜日

第1220話 YOKOHAMA is Beautiful ! (その4)

むかしばなしもほどほどに「アルテ・リーベ」の昼下がり。
「昼下がりの情事」ならぬ「昼下がりの食事」である。

オーストリアのドライな白ワインでも抜きたいところなれど、
昼から飲むとあとがかったるくなるのでビールにしておく。
ドイツはレーベンブロイ(ローエンブロウ)の生を注文。
泡少なめでお願いしたら接客係に
「中身多めですネ?」―ちょいと皮肉っぽく返された。

何もジョッキにあふれ返るほどのビールを
欲しているわけではない。
厚い泡におおわれたのがイヤなのだ。
中にはほぼ半分が泡のヒドい店があるからネ。
ソープランドじゃあるまいし・・・。

「アルテ・リーベ」の生ビールはジョッキではなく、
陶製のマグで供される。
背丈は低いがズングリとしてけっこうな容量がある。

世に有名なミュンヘンの「ホフブロイハウス」のマグも陶製だった。
記憶が確かならば、背はずっと高かったんじゃないかな?
何せ最後に訪れたのが18年も前だもの。
「ホフブロイハウス」はヒットラーが
ナチ立ち上げの集会を開いたビヤハウスだ。

ドイツやオーストリアでは
ガラスのジョッキより陶器のマグを好む傾向があるように思われる。
ひるがえってイギリスのパブではまず陶製を見掛けることはない。
フランス・イタリア・スペインなど、ラテン系諸国では
マグどころかジョッキも珍しい。
ガバガバとビールを飲む習慣がないのだ。
そう彼らにはワインがあるからネ。

さてランチメニューの吟味である。
魚系と肉系を1皿づつ取って分け合うことにする。
カップルのメニュー選びとしては
これが王道とまでは言わないけれど、ベストの選択肢であろうヨ。
ヤング・ジェネレーション同士による初回のデートでは
なかなかこうはいくまいがネ。

あまり目を引く品目がない中で
協議の結果、真鯛のクレープ包み焼きと
ハンバーグステーキのフォワグラ&黒トリュフ添えをチョイスした。

これが牛フィレ肉のステーキに
フォワグラ&黒トリュフ使用のペリグー・ソースをあしらうと、
フィレ・ド・ブッフ・トゥルヌド・アラ・ロッシーニという名の
高級フランス料理となる。
直訳すれば、牛フィレ肉の竜巻・ロッシーニ風だが
もう何年、いや、十数年も食べてないなァ。

=つづく=