2022年7月11日月曜日

第3055話 すだちと知多とかつお刺し

髪もすっきりと、かむろ坂を降った。
山手通りを横断し、
右前方に進めば五反田、左なら目黒だ。
右手に取って裕やんだんだんへ。
映画(嵐を呼ぶ男)ではああだった、こうだったと
しばし辺りにたたずむのは毎度のこと。

予定としては漠然と、芝大門でカツカレー。
都営浅草線に乗ってはみたが
昼の玉子サンドがまだ消化しきれていない。
こりゃ、ライス半分でもムリだわ。

大門で降りたものの、
改札を出ずに大江戸線に乗り換えた。
門仲か森下の酒場が妥当だろう。
軽くつまめて飲めればいいや。

門前仲町下車。
しばらくぶりの立ち飲み「ますらお」へ。
時刻は17時、客でいっぱいのカウンターに
スペースを作ってもらい、どうにか滑り込む。

当店の生はプレモル、瓶は一番搾り。
よって最初の1杯は生搾りすだちサワー。
頭上のメニューを見上げた。
金目鯛炙り刺し、かつお刺しが1番目と2番目に。
「ますらお」に来れば頼むのかつお刺しを。

炙り金目のにぎりのところに
=ニンニク醤油で= 
一筆を目ざとく見つけ、そいつをお願いした。 
かつおには何てたってニンニクだもんネ。

両サイドの独り飲みもかつおを突ついていた。
狭い場所にかつおが3皿並んじまった。
メニューには刺しとあったが
実際は皮目を炙ったたたきである。

美しい6切れの脇には
おろし生姜、きざみ小ねぎ、貝割れ大根。
いやはや、実に美味い。
お隣りさんを含め、3皿すべてが背身。
腹身は仕入れていないんだ。
当店のかつおはいつも当たり、まず外さない。
店主の目利きの賜物と言うほかはない。

サントリー知多のソーダ割りに切り替えた。
このグレンウイスキーは好きで
生ものとの相性もよろしい。
さらに何か1品と思ったが
かつおが良すぎてほかに食指が動かない。
1皿6切れで満足だから
とてもじゃないがカツカレーは無理だよネ。

知多ハイをお替わりし、お勘定は2400円也。
帰りしな御徒町のブレイクルームに立ち寄り、
プラコップの生を2杯いただいて帰ります。

「ますらお」
 東京都江東区富岡1-5-15伊藤ビル2F
 03-5809-8256

2022年7月8日金曜日

第3054話 緑ヶ丘でもハイネケン

この日は理髪日。
昼めしは東急目黒線の先のほうまで行って
食後、不動前に戻るつもり。
目黒線は目黒ー日吉間を走るが
田園調布より先は東横線の複々線となるため、
正式には目黒ー田園調布間である。

多摩川を越えたくはなく、
大岡山で乗り換え、大井町線・緑が丘下車。
長いこと来ていない、15年は来ていない。
でも町並みに見覚えがあった。

「扇鮨」が健在。
確かこの店は親方自身がいくつか鮨種を
釣るんじゃなかったかな?
おおやっぱり、桃色の暖簾に白く、
”釣魚鮨”と染め抜かれていた。

コンパクトな町につき、店舗の数は限られる。
3軒ほど候補を選んであり、
そのうちの「ハル&ハル」に入店した。
フレンチトーストが大人気というが
そういうものを食べる習慣はなく玉子サンドをー。

飲みものはアイスレモンティーにでもするかな?
おおっと、ハイネケンがあるじゃないですか!
ひと月前に根津の「オトメ」で飲んだヤツ。
小瓶だから2本はいっちゃうネ。
普段、あまり出入りしないタイプの店に
好みのビールがあると、地獄で仏の感あり。

玉子サンドはゆで玉子をつぶすタイプでなく、
メルティングチーズがたっぷり入ったオムレツ。
鶏卵2個使用で食べ応えがあった。
サニーレタスもどっさり。
山型イギリスパンの片焼きトーストサンドだ。
フタのないケースで焼くために山ができる。

ん? この甘みは何だろう?
ピーナッツバターだな、これは。
パンがデカいのとレタスが多いのとで
どちらもけっこう残しちまった。
大阪の小姑には食べものを残すと
バチが当たると言われ続けてるが
食べきれないものは致し方なし。

壁にOHTANI meter が設置され、
17を指していた。
この数時間後には18になるんだがネ。
1900円を支払い、狭い町を15分ほど散策。

暑いから早いとこ電車に乗りたいが
隣りの大岡山まで歩く。
緑ヶ丘と大岡山は東工大の町だ。
北口商店街を往ったり来たりして
不動前に向かいました。

「ハル&ハル」
 東京都目黒区緑ヶ丘3-1-6
 03-3718-2188

2022年7月7日木曜日

第3053話 角打ちで飲む前に~蔵前篇~ (その2)

蔵前「フタバ」近くのライトミール・スボット。
1軒目はちんどん屋、じゃなかった、てんどん屋。
天丼はちっともライトじゃないけど、
飯半分だからだいじょうぶ。

明治22年創業、吉原大門「土手の伊勢屋」を
本家とする「蔵前いせや」。
ほかに「千束いせや」もあり、
先代の息子3人がそれぞれの暖簾を守っている。
長男・土手、次男・千束、三男・蔵前と、
台東区内を南下する毎に店主が若くなってゆく。

ランチサービスがお値打ち。
海老3本丼 穴子1本丼 キス2尾丼
海老とホタテかき揚げ丼 スルメイカかき揚げ丼
フグ丼(限定5食)
以上が800円均一。

安いなァ、うれしいねェ。
何たって軽いのがいい。
飯半分にしてさらに軽くしてもらう。

穴子をお願いすると、
そこそこサイズがカリッとした揚げ上がり。
ししとう1本、ナス1片も―。
「伊勢屋」伝統の江戸前天丼はコロモがサクサクだ。
キャベツもみは添えられるが
味噌椀は別売りの200円。

間を置かずにキス2尾丼。
これまたけっこうながら
「いせや」のスタイルにしっくりくるのは穴子だネ。

問題は相当にしょっぱい丼つゆ。
J.C.の知る限り、東京で最も辛いそばつゆは
雷門の「並木藪蕎麦」。
丼つゆなら「蔵前いせや」となる。
つゆ少なめを申告するのが賢明だ。

続いて田原町の有名パン店、
「ペリカン」直営の、その名も「ペリカンカフェ」。
「いせや」は「フタバ」まで徒歩1分につき、
ビールを飲まないが、こちらは5分ほどの距離。
ハムエッグのトーストを食べながら
がまんできずに1本お願い、小瓶だけどネ。

女性に人気でいつも数人並んでいるそうだが
その日はすんなり通された。
だけどもオトコはわれ一人。
女湯に浸かってメシを食ってる心持ちだ。
とは言え、角打ち前にもってこいだから
次回はクロク・ムッシュでもいってみよう。

吾妻橋より多少行きやすい蔵前。
「フタバ」の頻度が増しつつある、
今日この頃であります。

「蔵前いせや」
 東京都台東区蔵前4-37-9
 03-3866-5870

「ペリカンカフェ」
 東京都台東区寿3-9-11
 03-6231-7636

2022年7月6日水曜日

第3052話 角打ちで飲む前に~蔵前篇~ (その1)

舞台は変わって台東区・蔵前。
都営浅草線で本所吾妻橋の2駅都心寄りだ。
NYから帰国後、蔵前の南に隣接する町、
柳橋に棲んだのでこの界隈は奥庭といった感じ。

古くは幕府の米蔵が建ち並び、
米問屋や札差しが軒を連ねて栄華を極め、
近世は2代目両国国技館が落成するまで
蔵前国技館にて大相撲の興行が成された。

そして現代。
理解不能なのに高視聴率だったTVドラマ、
「あなたの番です」の舞台となったマンション、
キエンクラ蔵前により、
三たび名を馳せることとなる。

角打ち開始後、10年近くになるという、
新堀通りの「カクウチカフェ フタバ」。
かつての住まいは徒歩10分の距離だが
オープンしたのは引っ越し後。
前からあったら入り浸りの可能性大である。

5月末、散歩していて見つけた。
以来、たびたび訪れている。
角打ちといえども実際は座り飲み。
常に空いていて、のんびり落ち着ける。

開けっ放しの入り口の外を行き交う、
通行人をボーッと眺めながらグラスを傾けるが
いつものパターンはドライの大瓶1本。
そしてサントリー知多のソーダ割り1杯。
100~300円のつまみ類が揃うものの、
滅多に口にすることはない。

カクウチカフェだから軽い食事も可能。
早めに出かけると、OLサンが数人、
ランチプレートやパスタを食べていた。
たまに近所のオバちゃんの茶話会が
開かれたりもして
そのときは姦(かしま)しいのなんのっ。

角打ちよりカフェ利用が多そうだが
深い時間に行ってないからまだ判らない。
独りでの夜の出歩きがめっきり減った今日この頃。
だんだん人と飲む機会が増えてくると、
またそのクセがつきそうだけど。
いつまで優等生でいられるのかな?

さて「フタバ」の前の軽い食事、そのめし処。
界隈をつぶさにめぐって択んだ。
吾妻橋同様、蔵前も2軒紹介しよう。

=つづく=

「カクウチカフェ フタバ」
 東京都台東区蔵前4-37-4
 03-3861-1138

2022年7月5日火曜日

第3051話 角打ちで飲む前に~吾妻橋篇~

最近はもっぱら角打ちにハマっている。
明るいうちから気兼ねなくサクッと飲めるし、
フードの注文を強制されもせず、
静かに酒と向き合え、しかも格安と来たもんだ。 

コロ助のせいで夜遊びを控えるクセがつき、
いまだに踏襲してるから、さらに都合がよい。 
今、ひんぱんに利用する二箇所を紹介したい。 
その際、角打ち前に軽いランチが取れる、
近隣の食べ処がとても大切。 
そちらの披露から始めたい。

初めに都営浅草線・本所吾妻橋駅前の「高政家」。
中細の中華そばと中太の塩そばが
二枚看板でともに605円の下町価格。

ももチャーシュー、シナチク、半味玉、焼きのり、
貝割れに、塩は白ごまが加わる。
控えめな量がオッサンには打ってつけ。
甲乙つけ難いものの、
モンゴル塩使用の塩そばに軍配かな?
細打ち麺が好みなののネ。

業平橋西詰に近い「下総屋」の名物は焼肉ラーメン。
普段はスルーするアイテムながら
名物ゆえにトライすると
やや厚めの豚生姜焼きが3枚、
どんぶりを覆っていた。

こりゃ他店のチャーシューメンより肉々しいゾ。
醤油スープと相まり、いい味を出すが何せ量が多い。
ラーメンかタンメンがちょうどいい。 
若者ならライスを付ければ食べ応えじゅうぶん。
極端な野菜不足に見舞われるがネ。

不思議なのはこの店の値付け。
タンメンも五目そばも700円。
しかもタンメンは野菜がヤケに少ない。
例えばひいきにしている鶯谷駅前「大弘軒」。
その3分の1程度しかないのだ。

五目そばは試してないから判らんが
タンメンと五目が同値の町中華をほかに知らない。
そのくせ肉モリモリの焼肉ラーメンは650円。
何を基準とするのか、理解に苦しむヨ、ジッサイ。

そうして乗り込む明治16年創業のの「明治屋」だが
以前、詳しく紹介したのて此度は多くを語らない。
ただ、直近の報告を。
「高政家」の塩そばのあとに訪れ、
ドライ大瓶と生まれて初めての陶々酒。

浅草名物・電氣ブランや
ハンガリア・リキュール、ウニクムの代役だ。
第一感は桂皮の主張する。
うん、悪くないな。
たまさか再注がございますかも。

「高政家」
 東京都墨田区吾妻橋2-4-13
 03-3622-0734

「下総屋」
 東京都墨田区吾妻橋3-2-9
 03-3622-5355

「明治屋酒店」
 東京都墨田区吾妻橋3-7-12
 03-3622-1592

2022年7月4日月曜日

第3050話 目白台 ウズラやヒツジの 舞踊り (その2)

日本女子大、通称ポン女がある文京区・目白台。
”仔猪亭”で夕食中だが
メニューにウズラや鹿や仔羊はあっても
うりぼうはいなかった。

ここでハタと思い当たる。
今、目の前にいる旧いのみとも、
ほとんどクサレ縁とは1年前のうなぎのあと、
半年前にも湯島の天ぷら屋で飲んでいる。
ホントによく東京に出てくるヤツだ。

前菜のキッシュからは
ズワイガニの風味が立ち上り、味も花マル。
一方、相方が択んだホタテのテリーヌは
硬いプリンのような食感がイマイチ。
まっ、みんながみんな上手くいくとは限らん。

互いにグラスを重ねつつ主菜へ。
ウズラのローストは
キノコ類のファルシ(詰め物)入り。
数年ぶりのウズラは大好物ながら
かなりのボリュームだ。

相方の仔羊もさほどトマトチックでなく、
上々の仕上がり。
赤ワインがほしくとも
どうせ1軒で終わらぬ今宵。
すんなりとデセールに移る。

以前はほとんど口にしなかったデセールを
近年は受け入れるようになった。
桃のタルトとカラメルのグラッセを分け合い、
エスプレッソを楽しむ。
久しぶりの深煎りカフェだ。

ディジェスティフ(食後酒)はアルマニャック。
フランス南西部、ガスコーニュ地方が産する、
ブランデーで原料は白ぶどう、これも久々。
何たって夜のフレンチはトンとご無沙汰だもの。

相方が近くの千登世橋を見たいと言い出した。
いいでしょう、ご案内しましょう。
西島三重子の「千登勢橋」の舞台である。
そういやあ、「仔猪」のそばには
東京カテドラル聖マリア大聖堂があるんだった。
ほうら、彼女の歌声が聴こえてきたヨ。

♪   胸の想い 言い出せなくて 
  遠くで カテドラルの鐘
  思わずこぼした 涙を拭いて 
  無理に笑った 風の中で  ♪
   (作詞:門谷憲二)

「千登勢橋」の一節に鳴り出すこの鐘は
あの鐘である。
さて、飲み直し。
目白の駅に向かい、千登世橋を渡って行きました。

「ル・マルカッサン」
 東京都文京区目白台2-13-5
 03-3946-7177

2022年7月1日金曜日

第3049話 目白台 ウズラやヒツジの 舞踊り(その1)

北九州のウルサ形がまた上京。
1年前に築地でうなぎを食べて以来だが
来るたんび注文をつけるので厄介至極なり。

でもって What do you want to have ?
すると Je veux de la cuisine française.
だとヨ、けっ!

まあ、たまのことだから合わせるがネ。
仏料理の晩餐はいつ以来だろう?
とっさには浮かばず、
調べたら一昨年の夏が最後だった。

BMしといた店に電話を入れたら
その夜は満席。
5日も逗留するってんで日にちをズラす。
そうして出かけた「ル・マルカッサン」。
店名は仔猪、いわゆるうりぼうだ。

護国寺門前で待ち合わせ。
習わぬ経を読みはせず、不忍通りを西へ歩いた。
目白台の坂を上り、18時開店の10分過ぎに到着。

ギュウギュウには詰めないけれど、
われわれで早くも満卓と来たもんだ。
予備知識はなくとも地域の人気店であることに
疑いの余地はない。

ドライの中瓶を注ぎ合い、グラスをカチン。
リエットを塗り込めた、
薄切りバゲットがアミューズ。
相方はフランスのシャルドネ。
当方はパスティスの水割りに切り替えた。

パスティスはアブサンの流れを汲む、
マルセイユ発祥のリキュール。
銘柄を訊くと今はリカールのみ。
水はカラフェで登場し、
お好きなように割ってくださいとのこと。
このとき気づいたがスタッフは男性独り。
シェフ兼パティシエ兼ギャルソン兼皿洗いだヨ。

客は10人、コレをワンオペでさばくんだ。
スゴいを超えて、ものスゲェな。
感心しながら氷入りリカールに真水を注ぐ。
直ちに黄濁していった

ギリシャのウゾ、トルコのラクは
無色透明につき、白濁。
薄い黄色のリカールやペルノーは黄濁し、
アブサンに至っては緑濁するのだ。

これはアルコール度数の高い酒に溶け込んだ、
アニス由来の精油成分が水でバランスを失い、
膜を作って光を乱反射させるため。

酒は酒として料理。
相方はホタテのテリーヌと仔羊のトマト煮込み。
当方はズワイガニのキッシュとウズラのファルシ。
それほど待たずにオードヴルが供された。
いっただきま~す!

=つづく=