2011年8月1日月曜日

第108話 骨肉茶をご存知? (その1)

裕次郎カレンダーを背にして一杯やったあと、
祖師谷大蔵の駅に舞い戻り、友人をピックアップ。
そして当夜の本命、マレー料理店に向かった。

これを書いているのは7月30日。
早起きをし、朝からひかりTVで
裕次郎主演の「太陽への脱出」を観たのだった。
1963年の作品には引退した北原三枝はもちろん、
浅丘ルリ子も芦川いづみも吉永小百合も出ていない。
やや地味めな岩崎加根子がヒロインで南田洋子が脇役。
昔観ており、うっすらと記憶はあるものの、
スジはほとんど覚えちゃいない。
映画のデキ自体も芳しくない。
ラストで裕次郎が死ぬのが珍しいくらい。

駅から徒歩10分弱、やって来たのは「馬来西亜マレー」。
念には念を入れた店名ではある。
噂を耳にしたのは半年前のこと。
夫婦で切盛りするマレー料理店が
沿線のみならず、遠来からも客を呼び寄せているという。
珍しさも手伝い、これは行かにゃあなるまい、となった次第。

長いことシンガポールに赴任していたので
隣国のマレーシアにはちょくちょく出掛けた。
首都・クアラルンプールを始め、
王朝と海峡で名高いマラッカ、
ミュージカル映画「南太平洋」のロケ地となったティオマン島、
はたまた星降るデサルーで休日を過ごしたものだ。

日本サッカーが初めてW杯出場を決めた決戦地、
ジョホールバルは目と鼻の先、何度訪れたか数知れない。
行けば必ず海亀の玉子を買った。
いくら茹でても固まらない摩訶不思議なあの玉子・・・。

東南アジアを思わせる民芸調の店内は
評判ほどの空間ではなく、むしろやぼったい。
満席ではないにせよ、客席は8割がた埋まっている。
夫婦二人きりではとても手が回らず、
帰った客の卓に下げ物がそのままの状態だ。
アルバイトの女の子一人で解決するのに―。

写真入りのメニューはかなりの厚さ。
アジア諸国のビールの豊富な品揃え、
多彩にしてローカル色豊かな料理、
これは選びがいがあろうというものだ。

相方はネパール産ネパールアイス、
こちらはスリランカ産ライオンラガー、
それぞれにビールを頼み、
メニューブックの吟味に入る。

ほう、看板メニューは骨肉茶だ。
この料理をご存知の読者はおられますかな?

=つづく=