2011年8月18日木曜日

第121話 遠くで鮨を食べながら

町の雰囲気が好きだから
中央線沿線ではもっとも出没率の高い西荻窪。
ここに沿線で一、二を争う鮨店「鮨たなか」がある。
南口から歩いて5分余り、五日市街道にぶつかる手前に
コンクリートが即物的な鮨屋らしからぬ佇まいを見せている。

明日は七夕という夜に出掛けた。
実に9年ぶりのことで
2002年9月の食日記によれば、評価はきわめて高い。
ただし難点が一つあり、ビールの銘柄がエビスなのだ。
鮨にエビスはまったく合わない。
合わないどころか、邪魔をすることはなはだしい。
これではどこかに立ち寄り、
気に入りの銘柄を引っ掛けて来なければならない。
それには西荻駅前の居酒屋「戎(えびす)」が最適で
文字通り、エビスの欠点を戎で補うわけである。

当日は港区・愛宕で所用を済ませたあと、
学友のK石クンと新橋駅前で軽く一杯。
このとき行き当たりばったりで入った立ち飲み屋が
驚くなかれ、「ゑびす屋烏森本館」ときた。
〔エビス → 戎 → ゑびす〕、とても単なる偶然とは思えない。

鮨屋が控えているのでつまみはパスし、キリンの生を2杯飲る。
ここでもう一度驚いたのは生ビールの値段で
やや小さめながら中ジョッキが1杯290円。
時間が早くハッピーアワーが適用されているのだろう。

友は御徒町の角打ち、こちらは西荻の鮨屋と袂を分かち、
電車に揺られること、およそ30分。
駅前でこれも学友のC子サンと待合わせて店に向かう。
入口に近いつけ台の角に落ち着く。
親方の面貌にほのかな見覚えがある。
芋焼酎・海のロックで、いただいたものはかくの如し。

 つまみ・・・絹かつぎ・蝦蛄・真子かれい・いさき・柳かれい・
       小肌・玉子
 にぎり・・・こち・真子かれい・車海老・あじ・赤身・穴子2カン

穴子は煮きりと煮つめで1カンずつ。
あとは赤身のづけを食べたような、食べなかったような・・・。
焼酎を飲みすぎたため、記憶がおぼろ。

サカナの取り揃えが限定的で、かれいの重複も気になる。
この時期、若鮎の塩焼きなんぞも食べたかったが
さりとて評価の見直しにはつながらない。
界隈で突出した人気を誇るのもうなづける。

明日の七夕は織姫と年に一度限りのデート。
てなことがあるハズもなく、夕方から御茶ノ水で麻雀だ。
思えばしばらく役満をあがってないなァ。
遠くで鮨を食べながら、ボンヤリそう思っておりました。

「鮨たなか」
 東京都並区西荻南2-6-3
 03-3335-3777