2014年6月11日水曜日

第857話 或る夜突然 (その2)

上野広小路のカラオケボックス。
H岡サンが選んだのはトワ・エ・モワの「或る日突然」。
或る夜突然、「或る日突然」が鳴り響いたのだ。

おおっ、懐かしいぜヨ。
仲間の歌声をよそに
ぼんやりと翌日のスケジュールを思い浮かべていたJ.C.、
イントロが始まった途端、われに返った。

好きなんだなこの曲。
好きなんだなトワ・エ・モワ。
失礼ながら、H岡サンはごくフツーの容姿の持ち主。
その彼女が突然、数段ひかり輝いて見えたもの。
加えて歌唱力も抜群、しばし聴きほれてしまいましたとサ。

この曲がリリースされた1969年は高校三年生だった。
間借りなりにも受験勉強にいそしんでいた頃で
よくGFと巣鴨図書館に通ったものだった。
そんな可愛い時代もあったのだ。

思えば、トワ・エ・モワの楽曲は
わが青春に寄り添ってくれていた気がする。
生まれて初めて海外に渡り、
スウェーデンのストックホルムを訪れた際に
ユースホステルで出会った日本人たちとささやかな飲み会を催した。
いつしか会は歌声喫茶の様相を呈してきて
合唱したのが「誰もいない海」。
みんな歌えたということは当時のビッグ・ヒットだったんだねェ。

札幌冬期五輪のテーマ曲、「虹と雪のバラード」が
列島を席巻していたときは二回目の欧州旅行を目指し、
都心のホテルでバイトに明け暮れていた時期。
スキー・ジャンプの日の丸飛行隊の活躍を
勤め先の社員食堂で観戦した記憶がある。

そのホテルのパーティーで
あれは渡辺プロの新年会だったかな、
トワ・エ・モアのモアちゃんを見掛けたのは―。
彼女、模擬店のにぎり鮨を頬張っていたっけ。
なぜか相方のトワくんの姿はなかった。
出席者多数のため、見落としたのかもしれない。

おっと、モワちゃんは山室英美子(現姓:白鳥)、
トワくんは芥川澄夫のこと。
勝手にそう決め込んで、こう呼んでいるのだ。

ここで恒例の彼らのベストスリー・ナンバーの発表。

 ① 愛の泉
 ② 誰もいない海
 ③ 初恋の人に似ている
  次点:或る日突然

ベストワンの「愛の泉」をご存じの方は
そんなに多くはないだろう。

ではご紹介といきたいところなれど、スペースがなくなりました。
以下、次話ということで。

=つづく=