2016年2月17日水曜日

第1297話 サメとカスベの一騎打ち (その4)

自宅への帰り道。
西空に落ちてゆく夕陽を見ながら
サメとカスベの調理法を思案する。

はて、どしたらよカスベ、
もとい、よカンベ。
あいや、失礼!
第一感は煮付けであろう。
醤油と砂糖と清酒で甘辛く煮るヤツだ。

第二感はブール・ノワゼット(焦がしバター)かな?
これはマイ・フェイヴァリットである。
ノワゼットは仏語でセイヨウハシバミ、いわゆるヘーゼルナッツ。
バターを適度に焦がすことによってハシバミ色に仕上げるものだ。
ドングリに似たヘーゼルナッツの表皮に由来している。

フランス料理のブール・ノワゼットに使用されるサカナは
一も二もなく何たってエイである。
舌平目(ソール)も悪くはないけれど、
ノワゼットに不可欠のケイパーが
あっさりとした舌平目には強すぎる。

エイは仏語で raie () 、英語なら ray (レイ)  となる。
したがって尾の先に毒張りを持ち、
敵を刺す仲間は sting ray
マンタ(オニイトマキエイ)manta ray である。
われれれの世代、マンタと聞くと第一感は
三波春夫の「おまんた囃子」までさかのぼってしまうが
マンタは英語だったんだねェ。
いや、ビックリ。
 
sting から連想されるのは一般的には
ユニバーサル・ピクチャーズによる映画、
P・ニューマン&R・レッドフォードの「スティング」だろうが
あちらはハメる、ぼったくるといった意味合い。
J.C.は往年の名ボクサー、
そう、全盛期のモハメド・アリを思い起こす。

Fly like a butterfly, sting like a bee.
(蝶のように舞い、蜂のように刺す)
最重量ウエイトとは思えない軽やかなフットワークに
世界中のボクシング・ファンが魅了されたのだった。
 
と、ここまで綴って
チラリとTVの画面を見たら
外国人記者たちの前に琴奨菊が登場。
制限時間いっぱいの際のルーティン、
あの胸反りの名称が決定した。
外人女性記者の希望は菊バウアーでなく、
琴バウアーでありましたとサ。

=つづく=