2016年2月15日月曜日

第1295話 サメとカスベの一騎打ち (その2)

台東区・御徒町の「吉池」に独りなり。
何はともあれ、その夕べ、
スペイン産本まぐろの中落ちと青森産長芋を確保した。
イスパーニャの海の幸、みちのくの山の幸、
今、東京の地にて会いまみえんとしているわけだ。
当夜のウチ飲みの肴がまず一品決まった。
好物のまぐろ山かけである。

生鮮食品は1階に集中している「吉池」ながら
地下1階にもいろんなモノが並んでいる。
エスカレーターに導かれて地階に下りてゆく。
およそ30分を要し、フロアのすみずみを徘徊した。

結果、興味を惹かれたのは4品。
静岡のしらす干し、ロシアのたら子、北海道のすじ子、
東京郊外、いや神奈川県だったかもしれない、
豚肉の東京X、その小間切れであった。
東京Xを名乗るからにはやっぱり東京産だろう。

思案の挙句、購入したのはしらすだけである。
キメ細やかな、という表現はあたらないが
手にしたのは一尾一尾がとても小さく、
一目見ただけでこれは上物と確信したモノだ。
しかもソイツがたまたまバーゲンセールで
これは買わなきゃ、損、ソン、孫社長!
相変わらずオイラはバカだわ。

買い求めたしらず干しは
大根おろしと合わせることとなる。
炊き立てのごはん、
あるいはちょいと冷ました酢めしに
こんもりと盛り付けるという手もあるが
それでは晩酌のジャマだ。

とにかくまぐろ山かけに
しらすおろしが加わることになった。
歓ばしきかな。
こうなると今宵の晩酌は
早目にビールを切り上げ、日本酒に移行、
そう思い描いてほくそ笑んだことであった。

でもネ、でもですヨ、
この二鉢じゃいささか寂しい。
よってよほど東京Xで生姜焼きをと考えたものの、
なんかそんな気分じゃなかったんだよねェ。
本日はミートのお世話にならず、
フィッシュで統一してみよう・・・
そう心に決めたのでした。

=つづく=