2016年2月23日火曜日

第1301話 パキスタンの思い出 (その2)

もう40年も前のハナシのつづき。
ヒースロー空港を経ったPIAの旅客機は
シリアの首都・ダマスカスを経由して
パキスタン最大の都市・カラチに無事到着。
ここでトランジットし、東京行きの飛行機に乗り換えるのだ。

免税店でものぞいて時間をつぶそうと思っていたら
バスに乗り込むように指示された。
素直に従っていると、
バスは空港をあとにして市中に出て行くじゃないの。
記憶が確かならばイミグレーションを通っていないゾ。

何だか奇妙な感じになったが
思いがけない市内観光もまたよし、
ラッキーな気分にならないこともない。

到着したのは空港からそう遠くないホテルであった。
時刻はちょうど昼めしどき、
乗客揃ってロビー脇のレストランにうながされ、
カレーのランチが始まりましたとサ。
うれしかったなァ、もう!

月日はめぐり、その9年後。
再びパキスタンの地を踏むこととなった。
当時は東南アジアのシンガポールに赴任中の身。
季節は六月半ばじゃなかったかな・・・
2週間の休暇をもらってトルコ旅行を試みたのだ。

シンガポール―イスタンブール間のチケットも
PIAが一番安かった。
カラチ経由なものだから
行きがけの駄賃よろしくカラチに2泊することにした。

空港から予約済みのホテルに直行。
いや、暑い、熱い。
部屋に入って旅装を解くヒマもあらばこそ、
バーに再び直行の巻である。

バーテンダーのオニイさんにビールを所望する。
コールド・ビアと念を押すことも忘れない。
ところがニイさん応えて
「ありません」
「ハァ、ビールだヨ、冷たいビール!」
「ないんです」

話を聞いてビックラこいたわ。
ほとんどチェアから転げ落ちそうだったわ。
わが耳を疑うとともに
わが両眼は天を、もとい、天井を仰いだのであった。
デッカいファンが殊更ゆっくり回っていましたとサ。

=つづく=