2016年6月17日金曜日

第1384話 しかたなく秋葉原 (その6)

  ♪  一人酒場で 飲む酒に
   かえらぬ昔が なつかしい
   泣いて 泣いて 
   みたって なんになる
   今じゃ山谷が ふるさとよ  ♪
       (作詞:岡林信康)

岡林信康のデビュー曲、
「山谷ブルース」が山谷のドヤ街に流れたのは
1968年9月、メキシコシティ五輪の開幕前夜だった。
彼の作品ではファーストにしてベスト。
もちろん作曲も手がけている。

詞の主人公のようにしみじみと独酌していたわけではないが
独り静かに飲んでいたことは確かだ。
それが突然の闖入者によって破られた。

若女将に苦言を呈するつもりはないけれど、
何とか卓に誘導してほしかった。
そのあたりの気働きがあれば「赤津加」もワンランク・アップして
都内有数の名酒亭、大塚「江戸一」に
肩を並べるレベルに達するというものだ。

シゴト帰りのビジネスマンが徒党を組んで
酒を酌み交わすことになったらノイズはどうにも止まらない。
これじゃその脇でおちおち飲んでなんかいられない。
J.C.、即座に尻っぽを巻いての退散を決意する。
この潔さをマスにも見習ってほしい。

しっかし、解散総選挙を免れた自民党都議たちのニコニコ顔、
ありゃ一体、何なんだ。
安堵感の垂れ流しというほかに言葉が見つからない。
鈴木に野村、ああいう手合いを”箸でカレー馬鹿”という。
何だそれは? ってか?
掬いようのない馬鹿ってこってすヨ。

良貨が悪貨に駆逐されて独り逃れた電気街。
昌平橋通りを北上して不忍池にやって来た。
コンビニで缶ビールでも買って池のほとりで飲もうかな?
いや、菊正のワンカップ樽酒にしよう。
そう思ってミニストップに入店したものの、
樽酒なんてシャレたもんが置いてあるはずがない。

そうだ! 
池之端には日本そば屋「新ふじ」があるじゃないか。
池のほとりをスルーして気に入り店にまっしぐらだ。
心なしか歩行が急ぎ足になってらい。

ちょいと冷えた大関の一合瓶を所望する。
菊正より多少甘いがこれでよい。
どうせ一合で終わるハズもなし。
あとで菊正に移行する腹積もり。
グビッと一杯飲ってサービスの柿ピーをポリッとやった。

=つづく=
 
「赤津加」
 東京都千代田区1-10-2
 03-3251-2585