2016年7月11日月曜日

第1400話 錦の御旗に群がる五人 (その1)

その宵の舞台は豊島区・駒込。
プチ「たべともの会」であった。
この顔ぶれは4ヶ月ぶりだろうか・・・。
前回は浅草観音裏の「立花」だった。

「立花」はエンコ随一のお好み焼き屋である。
知名度と雰囲気なら坂口安吾や高見順など、
文士が入り浸った「染太郎」が第一かもしれないが
あえてJ.C.は「立花」を推したい。

お好み焼き・もんじゃの類いとは
年に一度接する程度の縁薄い間柄。
なのにこの店だけは訪問を躊躇しないくらいに好きだ。
その晩も楽しい時間を過ごした。
もちろん面子に恵まれたことも重要なファクターである。

エッ! 何ですって?
エンコって何なんだ! ってか?
折にふれて紹介および説明しているけれど、
いいでしょう、いいでしょう、リクエストに応えていまいちど。

そのスジの隠語で新宿はジュク、
池袋はブクロというのを多くの方がご存じだろう。
それでは上野はどうかな?
エノケンじゃあるまいし、エノってわけにはいかない。
正解はノガミ。
上野をひっくり返して野上としたわけだ。

明治6年、太政官布告によって浅草寺の境内は
浅草公園の指定を受けた。
大正末期に宮内庁の御料地が下賜された、
上野や井之頭の恩賜公園とは意味合いが異なる。
とにかく浅草は或る日突然、公園となったのだった。
公園をひっくり返すと園公、そう、エンコウでありますネ。

エニウェイ、浅草は浅草、駒込は駒込のアナザー・ナイト。
メンバーに先駆けて到着したJ.C.は例によって独り0次会を催した。
とは言っても許される時間は30分足らず、極めて限定的である。

直行したのは立ち飲み「ひろし」だ。
ここはちょいと一杯のつもりで飲むには推奨に値する。
おそらく駒込でベストだろう。
あとに中華料理が控えているため、
つまみはオーダーせずに
生ビールの中ジョッキ1杯にとどめおいた。

飲み干しながら何気なくオモテを見ると、
見覚えのあるオッサンが人の波をかき分けつつ、
走るがごとくに歩いてるじゃないの。
あわてて店を飛び出し、うしろから呼び止めた。

=つづく=