2016年7月12日火曜日

第1401話 錦の御旗に群がる五人 (その2)

日本、いいえ、世界を代表するツイン・デュオ、
ザ・ピーナッツの伊藤ユミさんが亡くなっていた。
すでに姉のエミさんは4年前に他界しており、
これで二人ともいなくなってしまったわけだ。
大ファンのJ.C.はとても悲しい。
数日中にあらためて彼女たちを語りたい。

JR駒込駅東口の北側を走る短い商店街はさつき通り。
ちなみに改札口前のガードをくぐるとアザレア通りが南に走る。
アザレアはつつじのことで
さつきとつつじ、二つの商店街は直線でつながっている。

さつき通りの立ち飲み酒場「ひろし」で
中ジョッキを飲み干したときに
店頭を横切った御仁を追いかけて呼び止めたのだった。
この人をナベちゃんという。
額に汗をかきながらの競歩まがいは
待ち合わせに遅れてはならじのなれのはて、
何もそんなに急がなくとも―。

だが、そうだった、そうだった、
先着組の3人はJR駒込東口に18時半の待ち合わせ。
うっかり忘れるとこだったぜ。
すでに改札口にたたずむタコちゃんをピックアップして
今来たストリートを逆歩する。

そうしてやって来たのが「炒め処 寅蔵」。
この店は年に数回オジャマするセミ行きつけだ。
当ブログでも紹介したことがある。
カウンターが主体の小体な店ながら
入口そばにテーブルが1卓、ここを抑えてあった。

予約の際に目当てのスペシャリテもお願いしてあった。
ここに来たらコレを食べなきゃの必食アイテムである。
ただし、メニューには記載されていない。
それは清蒸全魚。
鮮魚丸一匹の蒸しもので魚種はハタを最上とし、
広東料理の聖地・香港では清蒸石斑魚と称する。

後続の二人は19時に到着予定。
それまで冷たいビールと軽めのつまみでしのぐ。
最初の発注はピータンと焼き餃子。
ピータンには香菜(パクチー)を大盛りでお願いすると、
この香り高きハーブを大の苦手とするタコちゃんから
「勘弁してヨ!」の一声。
よって別盛りにしてもらった。

蓼食う虫も好きずきなれど、ことハーブ系に関しては
嫌いなものが一切ない自分のシアワセを文字通り、
かみしめながら味わうピータンの美味さを何に例えよう。

=つづく=

「ひろし」
 東京都北区中里2-2-1
 03-5394-5168