2019年5月1日水曜日

第2122話 立ち飲んで武蔵小山 (その1)

令和元年の始まり、始まり。
短い人生でめったに遭遇しない、
こんな機会も謹賀新年と言うのだろうか?
平成へ改元の際は日本におらず、
どんなだったか、まったく記憶にない。
心情的には、めでたさよりも寂しさを感じてしまう。

自身を含め、今現在の日本国民にとって
もったいないくらい慈しみの心にあふれた、
上皇・上皇后であらせられた。
お二人には公務・雑務に煩わされることのない、
健やかにして平穏な新しい生活に入っていただきたい。

さて、品川区・西五反田の禿坂を上り詰め、
小山台から向かったのは武蔵小山方面である。
ほどなく後地(うしろじ)の十字路に到達した。
武蔵小山の駅前商店街は目と鼻の先ながら
なおもぶらぶら歩きを楽しむために迂回を決めた。

池波正太郎翁がたびたび散策に及んだ、
星薬科大学の周りをぐるりとめぐり、旧中原街道を往く。
しばらくすると、道は現在の中原街道に合流。
この地点は武蔵小山駅前から続くアーケード、
パルム商店街の東端でもある。

アーケードを駅前に向かうものの、とにかく人、人、人。
歩みは遅々として進まない。
イライラしても仕方ないので人の流れに身をまかせる。
すぐに頭の中でテレサ・テンが歌い始めた。

♪      時の流れに身をまかせ
  あなたの色に染められ  ♪  

アーケードを突き抜けて駅前ロータリー。
あららら、景色がずいぶん変わったヨ。
モクモクと煙りを吐き出していた、
立ち食い焼き鳥屋は跡形もないし、
何度か利用した町中華の良店も見当たらない。
東京の町々はそれこそ、ちょっと目を離すと
別世界に変貌を遂げてしまうのだ。

早いとこ、どこかビールが飲める店を探さねば―
歩行者天国のパルム商店街に行して
クルマがブンブン走る26号線通りを
さっき来た方向へ戻るように歩く。

今や凄まじい勢いで都内を席巻する、
晩杯屋チェーンのフラッグシップ、
「晩杯屋本店」が道路沿いにあるハズだ。
何はさておき、そこでビール、ビール。

飲み仲間のオッサンに当店の熱いファンがおり、
CPの高さをしきりにほめそやすが
J.C.が利用したのは過去一度きり。
半年ほど前に鴬谷店でたかだか30分の滞在だった。
生ビール、青みかんハイを飲み
平目えんがわ刺し(180円)、レバフライ(130円)を食べた。

別段、魅力は感じなかったが
「どうしてつまみがこんなに安いの?」-
そんな印象を抱いたことは確かである。

=つづく=