2019年5月17日金曜日

第2134話 かしましきセレブの妻たち(その3)

焼き鳥店「成城」で生ビールの2杯目。
それにしても
近所の奥様たちのやかましさたるや、半端ではない。
会話の内容が筒抜けだぜ、まったく。

時折り起こる哄笑というか、爆笑というか、
要するに、バカ笑いが店内に響き渡る。
亭主たちの顔を見てやりたいが
彼らはゴルフかなんかだろうヨ。

想像するに、奥様グループは
当店のハッピー・アワーを狙い撃ってるネ。
「ねェ、ねェ、奥様、
 駅前のビルの焼き鳥屋さん、
 午後の2時間、ずっごく安いのヨ。
 〇〇サンもお誘いしてプチ飲み会開きましょうヨ」―
おそらくそんなとこだろう。

焼き鳥が焼き上がった。
塩・タレの指定をあえてしなかったが、どちらもタレできた。
いや、実にインパクトの強いタレである。
濃厚を超えて重厚の域に達している。
そう、昔の焼き鳥のタレはこうだった。
これは「鳥ぎん」時代からの継ぎ足しに相違ない。
美味しく懐かしく味わった。

続いてのとり皮餃子は
小ぶりなスイートポテトみたいなのが3カン付け。
横幅があるので串打ちは2本。
こちらは塩焼きで、醤油を掛けた大根おろし添え。
手羽餃子のアレンジ版だろうが
詰められた餡が上々、じゅうぶんに楽しめた。

これでサラダの胸肉、
焼き鳥のもも・肝・皮と、鳥の4部位を
おっと、肝の先っちょに1片のハツが付いてたから
トータル5部位をいただいたことになる。
小ジャレて高価な焼き鳥店が大手を振って歩くなか、
こういうクラシカルな焼き鳥の良さを再認識させられた。

日本酒は久保田も真澄も400円。
よほど切り替えようと思ったものの、
次があるので我慢し、中ジョッキの3杯目。
いやあ、今日はビールが進む、ススむ。

セレブの奥様方による昼下がりのママ会も
ずいぶんとお飲みものが進んでいる様子。
飲むほどに酔うほどに
会話のボリュームアップはとどまるところを知らない。

温厚なJ.C.もとうとう堪忍袋の緒がプッツン。
足元に爆竹の2、3本も投げつけたくなったが
生憎、持ち合わせがないため、断念の憂き目。
まっ、今しばらく泳がせといてやろうかの。

=おしまい=

「成城」
 東京都世田谷区成城6-4-13 成城フルール3F
 03-3484-0425