2020年3月19日木曜日

第2353話 雨のち雪の午後 (その1)

この日は足立区・竹ノ塚へ。
東京23区の北の果ては埼玉県境まであと1km の距離。
最近は馴染みの薄い町ばかりを訪れているが
此処もまたしかりである。

天気がよければ、舎人公園まで足を延ばす予定も
あいにくと朝からの雨がずいぶんな降りざまである。
散歩を断念したうえで出向いてはみたものの、
東武伊勢崎線・竹ノ塚駅到着時は雪に変わっていた。
いや、マイッたな。

昼めし処として目星をつけておいたのは
東口駅前ロータリーに面する「キッチン ホトリ」。
昭和40年12月創業の老舗は地元にしっかりと根づき、
市民に愛され続けている。
テーブル、カウンターともに間隔はゆったり。
内の繁華街ならこうはいかない。

名物のAとBのランチは夜も注文可能らしい。
最安メニューのAランチ(550円)は
エッグカツランチと称し、これが一番人気
とんかつに目玉焼きをかぶせた主菜のほか、
ライス・味噌汁・新香が付き、破格である。
一方のBランチ(890円)は日替わり定食。
本日は、牛玉丼、サーモンバターソテーホタテ酢の物。
価格差340円をカバーして余りある豪華版だ。

昼めしといっても米粒を避ける昼飲みのつもり。
当店のビールは小瓶がエビス、大瓶はキリン、生がサッポロ。
生でいくほかに手立てはない。
おう、薄めの泡がまことにけっこう

カキフライの単品と迷った末、カツ丼(850円)のアタマ、
いわゆるカツ煮をお願いした。
それに加えて、おかずカレー(310円)というヤツも―。

ビールを追いかけて、運ばれたカレーは小鉢入り。
豚肉とにんじんがゴロゴロ入っている。
玉ねぎとマッシュルームのスライスも見えた。
別の小鉢には大量の福神漬け。
大盛りカレーライスならまだしも、
ライスなし小カレーには多いんじゃないの? 
まっ、いいけどサ。

カツ煮皿にはとんかつ用の繊切りキャベツがこんもり。
どうやらライスの代わりのつもりらしい。
カツ煮には玉ねぎのほか、かなりの量の細切りにんじんも―。
キャベツ、にんじんは好き、ありがたくいただきましょう。

ウスターソースがアクセントのカレーは
予想よりずっと美味しかった。
カツ煮にしてもライスがないぶん、
薄味に仕立ててくれた様子で作り手の配慮を感じる。
地元民の支持を受ける理由が
こんなところに垣間見える「ホトリ」でありました。

「キッチン ホトリ」
 東京都足立区竹の塚6-5-3-3
 03-3884-3531