2020年3月30日月曜日

第2360話 肩透かしの締めくくり (その1)

立ち飲み酒場「ますらお」をあとに永代通りを西へ進む。
永代橋を渡りながら前方を見やると、
右手に豊海橋の白い橋梁が鮮やか。
この二つの橋の位置関係は此処より上流にある、
両国橋と柳橋のそれに瓜二つだ。

豊海橋の下を流れるのは日本橋川。
一方の柳橋の下は神田川。
2本の河川が袂を分かつのは東京ドームの南側。
それぞれにおのれのの流れるを定める、
この地点を人は水道橋と呼ぶ。

今日はよく歩いたが、とうとう締めくくりに到達。
人形町の洋食店「そよいち」である。
ひと月前に
第3333話 変わり果てたるビーフカツ
で同町の「キラク」を紹介した。
その「キラク」と源泉を同じくするのが「そよいち」だ。
いつからかポーション控えめの”酒の友メニュー”を導入。
夕食より晩酌に重きを置くJ.C.のような不届き者には
願ってもないアイデアで、この恩恵は大きい。

厨房で見覚えのある女性シェフが
白衣と三角巾に身を固めている。
この人こそが「キラク」の創始者・外吉氏の娘御だ。
彼女を支える接客係と調理補助は
男女ともにターコイス・ブルーのTシャツ姿だが
頭巾を被っていない。

選択肢がなく仕方なしにキリンラガーの中瓶を通す。
同時に名物のマカロニサラダ(500円)も―。
”酒の友”の吟味に入る前に
当店のグランドメニューをおさらいしておこう。

ビーフカツ―1900円(1150円)
ポークカツ―1750円(1050円)
ポークソテー―1900円 ハンバーグ―1250円
串カツ―1200円 ハヤシライス―1500円
=限定10食=
カツカレー―1200円 メンチカツ—1100円
カキフライ―1300円
( )内はハーフサイズ
全品豚汁付き ライスお替わり自由

良心的な価格設定といえよう。
あらためて”酒の友”に視線を移した。
ビーフカツ・ハーフは750円で
ポークカツ・ハーフは650円。
食事のハーフよりさらに安いのは
豚汁とライスが付かないからだ。
眺めているうちにマカロニサラダが運ばれる。
うわっ、こりゃまたスゴい量がきたもんだ。

=つづく=