元八幡通りから仙気稲荷通りを歩きたくて来た。
昼めしは稲荷通りの日本そば店、
その名も「いなりや」と決めてある。
13時半に到着。
老舗だが建て替えたと見えて
4階建てのコンパクトなビルは
2階より上がマンションだ。
店内は密にならない程度の入り。
ビールはまたもや一番搾りにぶつかった。
枝豆が付いてきた。
ページ数の多い品書きを繰り始めて
真っ先に目を引かれたのは葉わさび。
無類の山葵好きとしては見逃すこと能わず。
さっそくお願いしたら
辛味が効くこと、効かないこと。
不覚にも落涙・・・そこまではいかないが
涙がにじんだ、でも、美味いネ。
主役のそばはメトロに揺られながら
穴子天そばでいこうと思っていた。
それが突然、浮気心につまづく。
数十年も食べていない、にしんそばを発注に及ぶ。
いえ、にしんの棒煮はたまさか口にするが
温そばとのカップリングは
京都の祇園以来じゃないかな?
品書きの“京都直送”の文字に惹かれた。
しかし、これが好かった。
しっかり乾された身欠きにしんは
いわゆる上乾というヤツだが別皿で登場。
1杯のかけそばには
葉を5~6枚つけた三つ葉が浮いている。
一口すすり、一口手繰る。
つゆもそばもまことにけこっこうだ。
さびれゆく商店街に
どっこい、老舗そば屋は生きていた。
南砂から東陽町、木場を経て
洲崎(すさき)まで歩く。
かつて洲崎遊郭のあったところである。
大門(おおもん)通りを散策し、
アカミミガメでも見ようと
洲崎神社にやって来た。
ややっ! 亀がプカプカ浮いてた池が
影も形もないじゃんか―。
すっかり埋め立てられて駐車場になってやんの。
亀の歩みが遅いのに、時の流れは速すぎる。
♪ さみしさのつれづれに
いつもの店に歩いています 門仲の ♪
「いなりや」
東京都江東区南砂4-7-25
03-3648-2121