荒川区・宮ノ前の「どん平」は20年ぶり。
中瓶を半分飲んだところでミニセット定食が整い、
カウンター越しに膳が手渡された。
内容は
半とんかつw/キャベツ とろろ小鉢 冷奴
たくあん なめこ・豆腐味噌汁 麦入りごはん
とんかつにデミグラスがたっぷりかかっているが
「お好みでとんかつソースをかけて下さい」の一言。
とろろは出汁醤油の薄味。
冷奴は炒り豆腐のように崩され、これも下味付き。
ごはんの麦はごくわずかだ。
とんかつは4切れ。
厚みがあるので箸で分断したら
ん? 何だ、なんだ、フニュッときた。
とてつもなく柔らかい。
ほとんど噛まなくてもいいくらい。
ハハ~ン、これは下茹で、いや、蒸しかな?
とにかく下ごしらえが施されている。
珍しいとんかつだ。
毎度、このタイプじゃ困るけど、
たまにはいいかもしれない。
それにしても20年前はこんなじゃなかった。
大・小のとんかつはあらかじめコロモをまとい、
注文が入るたび、鍋にポンポン投入されてゆく。
これが手際の良さの秘訣だった。
2階の料理はダムウェイターでリフトアップ。
上手いこと考えてるなァ。
隣りに座ったオジさんが、とんかつ定食を通すと
「麦入りにしますか? 白ごはんですか?」
とろろ付きの注文は無条件で麦入りだが
とんかつのみは、ごはんを択べるのだ。
オジさん、麦入りを選択。
13時半を回っても客足は落ちない。
「いらっしゃいませ~!片付けないと
座れないんで外でお待ち下さ~い!」
女将ではなさそうだが八面六臂の活躍ぶり。
突然、彼女がキッチンに叫んだ。
「若旦那! お持ち帰りのカツサンド、
「う~ん、20分かな」
そうか、そうなんだ、彼は先代の倅だったのか―。
道理で年季が入っているわけだヨ。
いずれにしても若旦那、お主は出来る!
「どん平(べい」
東京都荒川区西尾久2-2-5
03-3893-8982