歳末のエンコにやって来ると
人出が無茶苦茶でござりまするがな。
インバウンド抜きでこの状態じゃ
彼らが再来襲したら、どうなっちまうんだろう。
人気店はどこもかしこも行列だ。
雷門のすぐ脇にありながらガラガラの洋食店、
「とん久」に18年ぶりでおジャマした。
最近は十数年ぶりの再訪が多い。
故きを温ねて新しきを知る代わりに
懐かしさを覚えるから“温故覚懐”の心持ちなり。
先客はおらず、店主夫婦が談笑していた。
公衆トイレのすぐ横という、
ロケーションも災いしているだろう。
二人ともお歳を召された。
まっ、18年も経ちゃ当たり前だがネ。
普段ならカウンターに着くところ、
アクリル板がうっとうしそうでテーブル席へ。
♪ ひとりぼっちの うしろ姿の
君のうなじが やけに細くて
いじらしかったよ ♪
パープル・シャドウズの
「小さなスナック」がかかるなか、
ドライの中瓶、カキフライ単品を通した。
10月下旬以降、
洋食屋でカキフライを食べるのは3度目だ。
中ぶりのカキは5カン付け。
ずいぶん色白な揚げ上がりは
キツネ色ではなくシロクマ色。
繊切りキャベツの隣りのポテサラがうれしい。
カキフライの味わいは
カリカリのサクサクのシットリと
なかなかにけっこう。
卓上のソースはウスターと中濃の中間てな感じ。
若いカップルが入店して来た。
彼らの注文を聞くともなしに聞く。
オムハヤシ、ナポリタン、ヒレカツ定食と
コカコーラ1本にグラス1個。
女性がトクトク注ぎ、男性の前に滑らせた。
ふ~ん、やるじゃないの。
近頃の娘っ子にしちゃ、心根のやさしい子だ。
それはともかく若いだけによく食うネ。
黄昏まぢかの街に出た。
雷門から仲見世にかけ、人通りが絶えない。
2軒目はすでに決めてある。
「とん久」
東京都台東区浅草1-2-8
03-3841-8718