2022年9月19日月曜日

第3105話 都の東に西北があった (その2)

日本橋蛎殻町の「西北拉麺」に独り。
羊肉拌麺を目の前に箸を取ったところだ。
”ただちによく混ぜて食せよ”とのお達しだが
すぐにはそうしないで麺と具材の味見。
納得しながら徐々に混ぜ合わせてゆく。

ふむ、ふむ、こういうものかー。
自家製の辣油・香酢・おろしニンニクを駆使し、
美味しくいただいたが
印象に残ったのは脇役のスープのほうだ。
無色透明なのに深い滋味があった。

出汁はいったい何だろう?
魚介系は使われていない。
牛骨かな?
近いうちに再訪し、拉麺に挑んでみよう。

訊けば当店。
石材店の経営者が石材買い付けのため、
たびたび訪れた福建省厦門(アモイ)で
たまたま出逢った「西北拉麺」がルーツ。

惚れ込んで何度も通い、
どうしても日本にこの味を持ち帰りたい。
彼の地の店主を拝み倒して
ようやく開店にこぎつけた由。

硬い商売の石材から拉麺とは
ずいぶん軟らかくなったものだ。
今この繁盛ぶりを目にする限り、
墓石屋が墓穴を掘ることだけは免れた様子だ。

食後は界隈の散策。
ついでに自宅用の食料を調達しておこう。
浜町のドイツパン店「タンネ」に立ち寄る。

買い求めたのはプレッツェル。
今宵のビールの友とする。
そしてケシの実付きカイザーゼンメル。
オーストリア発祥のロールパンは
カイザーが皇帝、ゼンメルが小麦粉の意。
明日の朝食用である。

次に向かったのは人形町の甘酒横丁。
パンのあとは寿司といこう。
近くに来れば、ほぼ毎回訪れる
「人形町 志乃多寿司総本店」に来た。

先日、日暮里の「羽二重団子」で
志乃多寿司&ミニ団子のセットを
完売のため、食べ損ねてるしネ。

五色巻詰合わせを購入。
五色巻(中太巻)海苔巻(かんぴょう)
志乃多(いなり)の詰め合わせだ。
バッテラ・紅鮭・穴子の三色寿司と迷ったが
それは次回にしよう。

陽はまだ高い。
大川の向こう、吾妻橋の角打ちで
生ビール&陶々酒とまいりましょうかー。

「西北拉麺」
 東京都中央区日本橋蛎殻町2-2-2
 03-6661-9994

「タンネ」
 東京都中央区日本橋浜町2-1-5
 03-3667-0426

「人形町 志乃多寿司総本店」
 東京都中央区日本橋人形町2-10-10
 03-5614-9301