E美子からのメールはこうだった。
(こんばんわ
Approach ’月28日で締めるそうです)
(閉める前に飲みに行くかい?)
(はーい! お願いいたします)
そうして待ち合わせたのは銀座の名門校、
泰明小学校そばの日本そば屋「泰明庵」の2階。
そばもさることながら刺身や天ぷらが好い店だ。
さっそくドライのグラスをカチン。
積もるハナシは山よりも高い。
E美子の顔を最後に観たのは
震災の翌年だから11年も前。
いや、懐かしい。
人目もはばからず、抱きしめてやりたいくらいだ。
あの時は久々に「Approach」に顔を出したら
チーフのトミーが「J.C.来てるヨ」と
バー「魔里」に電話を入れてくれ、
魔里ママとE美子が駆けつけてくれたのだった。
そのママは2年半前に亡くなっていた。
食堂ガンである。
亡くなる前月まで店に立ち、
E美子は最後まで一緒だったと言う。
そしてそれから3カ月。
彼女は「魔里」のすぐそばに
小さなお店を持つこととなる。
E美子は銀座のママになったのだ。
「泰明庵」のつまみは
平目&本まぐろの刺身。
それに珍魚・ギンポの天ぷら。
相方は出羽錦の冷たいのに切り替え、
当方はこれから強いカクテルを何杯も飲むため、
ずっとビールで通した。
E美子にはごまだれせいろで締めさせて
お勘定は1万円で小銭のオツリが来た。
いざ、7丁目の「Approach」へ。
ドアを開くと
「アッ、J.C.!」
「よぉ、トミー!」
てなもんや三度笠。
E美子曰く、サプライズにしといたとのこと。
3人でグラスを合わせた。
J.C.とE美子はホワイトレディのハードシェイク。
トミーはスコッチかバーボンの水割り。
此処でもハナシは積もりに積もる。
カクテルはサイドカーから
ビトウィン・ザ・シーツへと移行する。
自分の店に戻りゆくE美子の肩を叩き、
二人のオッサンはあらためて飲み直すのでした。
「泰明庵」
東京都中央区銀座6-3-14
03-3571-0840