かきフライ&「京都の夜」のおかげで
ウキウキと水門通りを雑色に戻った。
第二京浜を渡り返し、駅前を通り過ぎて
今度は西に走る雑色商店街を歩む。
京浜東北のガードをくぐったら右折。
線路沿いに北上してゆく。
ほどなく現れたのは蒲田操車場である。
松本清張原作の映画の中で
ベストと評価の高い「砂の器」。
映画の冒頭、事件はこの操車場で起こった。
だが昼間だとちっとも感じが出ず、退散。
蒲田で飲み直せばいいものを
そこから電車に乗って大井町へ。
ちょうど1年前もそうだった。
羽田空港に近い穴守稲荷で昼食のあと、
大鳥居、糀谷と歩いて蒲田に到着。
あの日も電車で大井町に移動したっけ。
旧闇市場の東小路と平和小路。
この町に来たらこのエリアは必訪につき、
ぶらぶら流してゆく。
足を止めたのは焼き鳥酒場「一角」の店先だ。
立て看板を眺めていたら中から女性が出て来た。
面立ちにうっすらと見覚えがある。
これは1年前とまったく同じ展開。
あのときも彼女にハントされたのだった。
先刻の「千丸」といい、何だか近頃、
個人的体験がたびたび繰り返される。
「ちょっと近くを一周りしてからネ」ー
言い置いてその場を離れた。
目ぼしい店を見つけたら浮気は必至なれど
律儀なJ.C.のこと、一周後に舞い戻った。
ドライ中瓶を抜いてもらうと
お通しはしらすおろし。
焼き鳥はハツモト塩 レバーたれでお願い。
そうそう、彼女は蘇州の出身だった。
日本語はかなり出来るが、まだまだだネ。
蘇州の東に位置する大都市が上海。
北区・飛鳥山の行きつけ上海料理店、
「豫園飯店」の J.C.担当、
香蘭は上海生まれで日本語ペラペラだ。
ドライをお替わりし、
追加はボンジリ塩、豚バラたれでー。
「もう一人の蘇州の女性は?」
「ヨソの店に居ます」
訊けば、日本人&中国人のオーナー夫妻は
大田・品川両区に8軒も経営していて
スナックが中心とのこと。
このご時世にやるもんだねェ、ジッサイ。
「一角」
東京都品川区東大井5-3-4
03-3471-9080