2024年3月1日金曜日

第8483話 真鯛三昧 交通会館 (その1)

台風並みの風が吹き荒れる日。
雨もイヤだが風もイヤだ。
これは昔からTVのCMでもおなじみ。
「風、ヤね」
おっと、あれは風じゃなくて風邪だった。
酒井和歌子のベンザCMが懐かしい。

こういう日は土竜(もぐら)の如く、
地下にもぐりっ放しが一番。
はて、何処に避難しようか?
ふむ、日比谷か銀座辺りだろうな。

この月曜日、たまたまTVで観たのは
二人のコータローが
地下で飲んだり食ったりする番組。
小泉孝太郎&吉田鋼太郎である。
日比谷に始まり、
有楽町や八重洲の地下街をめぐってゆく。

たまたま目にしたのは有楽町駅前、
交通会館地下の「徳田酒店」。
大阪で多店舗展開する大衆酒場は
なかなか感じがよさげにつき、
よお~し、行ったろうやないかい。

横長の暖簾をくぐると、
目の前に横長のカウンター。
間口は広いが奥行きは狭い。
右の奥にテーブル席もあった。

ドライ大瓶を通し、品書きに目を落とす。
おっ! 鯛わた塩辛があるゾ。
大好きだが、まずお目に掛からない。
即注の巻である。
鯛皮ポン酢にも惹かれ、これまた即注。
さすが浪花の人気店、
花のお江戸とはずいぶん趣向が異なる。

塩辛を口元に運んだ。
ん?  嗅覚が生臭さを感知。
実は鯛皮のせいではなく柳箸の成せるわざで
このことはニューヨークから帰国後、
旧花街、柳橋に住み始める前から知っていた。
生の柳の枝は生臭いんだ。

思い出すなァ、あれは四半世紀前の1999年。
当時のGFは大手乳業会社のOLで
彼女と吉祥寺の鮨屋を訪れた。
楽しい食事だったが駅への帰り道。

「美味しかったけど、
 おサカナがちょっと生臭かった」ー
そう、つぶやいた彼女。
「いや、アレはサカナのせいじゃないんだ。
 箸が柳だからだヨ」
「なあ~に、ソレ?」
説明してやったら目からウロコがポロリンコ。
隣りの西荻で飲み直しと相成りました。

=つづく=