今月の神保町シアターの特集、
五所平之助シリーズに
すっかりハマッてしまった。
日本初のトーキー映画、
「マダムと女房」(1931)に始まり、
「かあちゃんと11人の子ども」(’66)。
先日、紹介した「花籠の歌」(’37)。
「愛がちぎれる時」(’61)、
「わが愛」(’60)、「白い牙」(’60)、
「愛情の系譜」(’61)と、すでに7本も観た。
今後は「からたち日記」(’59)、
「煙突の見える場所」(’53)、
「黄色いからす」(’57)、
「100万人の娘たち」(’63)に赴く予定だから
全16作中、11本も観ることになる。
こうなるともはや中毒ですな。
今まで五所の作品はベルリン映画祭で
国際平和賞を受賞した「煙突の見える場所」と
井上靖原作の「猟銃」しか観ていないのにー。
最初の「マダムと女房」には少なからず失望した。
録音が悪く聞き取れない部分が多いし、
ストーリーの運びもあまりにトンチンカン。
初のトーキーだから仕方ないのかもしれない。
2本目の「かあちゃんと~」は素晴らしかった。
左幸子という女優をあらためて見直した。
彼女の作品は内田吐夢の「飢餓海峡」の娼婦役、
杉戸八重が深く印象的だが
勝るとも劣らぬ体当たりの演技である。
亭主役の渥美清も好かった。
「男はつらいよ」シリーズが始まる3年前だ。
ほかにも主役クラスがこれでもかと目白押し。
久我美子・十朱幸代・倍賞千恵子・香山美子・
田村正和・竹脇無我・藤岡弘。
松竹大船さん、よくぞ揃えてくれました。
佐田啓二と有馬稲子の「雲がちぎれる時」も心に残る。
佐田は土佐の高知のしがないバス運転手。
断崖絶壁の淵を猛スピードで走るバスは
下手なアクション映画顔負けで
アクロフォービア(高所恐怖症)気味のJ.C.には
かなり心臓にこたえた。
五所はこんな映画も撮っていたんだねェ。
特集は22日(金)まで。
「煙突の見える場所」「黄色いからす」
「100万人の娘たち」「恐山の女」は期間中、
今日から毎日1回づつ上映される。
その後は「映画で辿る 山田太一と木下恵介」の
予定である。
客席数99の小さなシアターですが選択眼は確か。
機会を作り、足に運ばれてみてください。