以前棲んだ町・浅草橋に来ている。
昼めし・昼飲みを問わず、
手ごろな店を探していた。
めし屋は休憩に入り、飲み屋はまだ開かない。
浅草なら問題ないけれど、
浅草橋ではそうもいかない。
JR総武線のガードそばにとんかつ店、
「藤芳 駅前店」がまだ開いていた。
そろそろ閉める時間だろう。
広くもない店でキリン一番搾り中瓶を発注。
浅草橋は浅草の隣りにも関わらず、
地元のアサヒに背を向けている。
まっ、店それぞれだからいいでしょう。
ここでロースかつ定食なんぞ、
食べたひにゃ夜に禍根を残す。
よってポークソテーを単品でお願いした。
ふ~む、「藤芳」かァ。
ボンヤリ思っていたら
いきなり藤島桓夫が歌い出したヨ。
♪ 庖丁一本 さらしに巻いて
旅へ出るのも 板場の修業
待っててこいさん 哀しいだろうが
ああ ああ 若い二人の
想い出にじむ法善寺
月も未練な 十三夜
(セリフ)
こいさんがわてをはじめて
法善寺へつれて来てくれはったのは
「藤よ志」に奉公に上った晩やった
はよう立派なお板場はんになりいやゆうて
長いこと水掛不動さんに
お願いしてくれはりましたなあ
あの晩から わては わては
恋はんが好きになりました
(作詞:十二村哲)
「月の法善寺横町」は1960年のリリース。
(歌のタイトルでは横町だが実際は横丁)
藤島桓夫一番のヒット曲となった。
小学低学年だったがリアルタイムで覚えている。
フフフ、小うるさい浪花の小姑も
大阪が舞台の歌なら文句はあるめェ。
どうだ? マイッたか!
=つづく=