大泉通りを東に進んでしばらく、東映通りと交差した。
東上すれば東映東京撮影所があるのだが
鶴田浩二や錦之助が出迎えてくれるハズもないから
無視して直進、石神井公園に到達した。
かつて檀一雄邸に居候を決め込んだ坂口安吾が乱心に及び、
カレーライス100人前を近所の食堂に発注する騒動が起こった。
1軒ではとても御しきれず、
共助し合って出前を成し遂げた2軒、
「辰巳軒」と「ほかり食堂」が揃いも揃って健在、慶ぶべし。
石神井公園内の石神井池にやって来た。
ややっ、どうした、どうした?
「笑点」で林家たい平が
司会の春風亭昇太にぶつけるセリフ、
「何かあったのかァ!」―これが思い出された。
池はすっかり干上がり、水が抜けちゃってるぜ。
まさかTV東京&ロンブー淳の仕業じゃあるまいな。
池畔の案内板により真相が判明した。
水質改善と特定外来種除去のため、
1月中旬の週末にかいぼり(掻い掘り)が敢行された由。
武蔵野市・吉祥寺の井之頭池も同様らしい。
奥に隣接する三宝寺池には多少なりとも水が残り、
カルガモのつがい、そして此処でも数羽のオオバンに遭遇。
先日、石神井川と隅田川で見かけた小型の水鳥である。
ほとりの石神井城址を散策していてハタと思い当った。
ここは豊島氏の居城だったのだ。
現在の豊島・文京・荒川・足立・北・板橋・練馬区と
広大な領地に権勢をふるった豊島氏である。
前述の石神井川うんぬんの際、
豊島区でもないのに“地番は豊島”と書いたが
大事なことをコロリと失念していた。
おのれの不明を恥じるほかはない。
ちなみに石神井城を攻略し、豊島氏を滅ぼしたのは
江戸城を築いた太田道灌である。
二つの池をほぼ一めぐりして石神井池南岸にやって来ると
池水が抜け切らないスポットがあり、
集まる鳥に子どもがパン屑を与えていた。
オナガガモ一つがいのほかはみなオオバンで
数えてみたら15羽、またもやオオバンぶるまいだ。
この鳥が都内にその数を増やしているのは間違いない。
ふと気になって翌日、不忍池に赴くと。
居たネ、居たネ、居ましたネ。
三つに分かれた池のうち、動物園内の鵜の池は
ただ今閉園中で立ち入れないが蓮池に数羽見とめた。
そしてクライマックスはボート池である。
北岸ではキンクロハジロ、ヒドリガモ、
ユリカモメが羽を休めている。
南はオオバン一色、二十数羽の密状態に唖然とした。
何だってこんなに勢力を延ばしてるんだろう。
それはそれとして先を急ごう。
石神井川のほとり、桜の並木道を東へ歩いて行きました。