朝から雨が降り続き、
山下達郎の「クリスマス・イヴ」よろしく
夜更けには雪に変わると予測された荒天の日。
外出を渋っていたものの、午後になって無謀にも出かけた。
ゆく宛てすらなく―。
メトロ千代田線・向ヶ丘遊園行きに揺られながら
外を歩き回るのはイヤだな・・・
地下鉄とつながってるとこが理想だな・・・
な~んて思いつつ、
日比谷下車なら改札からミッドタウンまでたった15秒。
大手町だと少々歩くが地下直結で
丸ビルやKITTE、八重洲地下街へ移動が可能だ。
ところが降りたのは新御茶ノ水。
地下を400m進み、淡路町交差点のA3出口を上がった。
天候が天候だけに熱燗が欲しい。
傘をさして徒歩1分、日本そば「神田まつや」に到着。
「まつや」といえば去年の1月、
新中野は鍋屋横丁の「まつや分店」を訪れ、
熱いかき南蛮とミニづけ丼を本わさびでいただいた。
あの日も雨だったなァ。
本家「まつや」が暖簾を掲げる、
界隈の地番は神田須田町、旧連雀町である。
関東大震災後に建造された瓦葺(かわらぶき)は
幸いにも戦災を免れ、現在も威容を誇っている。
こんなそば屋はそうそうない。
此の町にたびたび出没した池波正太郎翁は
とりわけ「まつや」の酒&そばを好んだ。
そば屋飲みをこよなく愛した翁のたまわく、
「酒を飲まぬくらいなら、そば屋には入らぬ」
まさしくおっしゃる通り。
及ばずながらこのJ.C.、
師の教えをかたくななまでに守り続けておりまする。
時刻は15時過ぎ。
昼めしどきなら列の絶えない人気店もさすがに空席が目立つ。
換気のため、出口のガラス戸が半開き。
その付近は寒風が入り込むので、ちょいと奥めに着卓した。
熱燗を欲しての来店だったが
ルーティン通りにドライの大瓶を―。
これなくしてJ.C.の夜は始まらない。
いや、最近は昼すら始まらない。
いえ、いえ、早いハナシ、朝が終わらないのだ。
でもネ、コロ助野郎が退散したあかつきには
晩酌タイムをキチンと定めて、それを守ろう。
人倫の道を正しく歩むことを心がけよう。
はたして、できるかな?
=つづく=