2022年5月4日水曜日

第3007話 池上線に乗って (その1)

裕やんに別れを告げて五反田駅。
朝食が遅かったから
いや、ブランチだったので
何も食べたくはない。

どこかへ移動しよう。
歩いてもいいが、せっかく駅に来たんだし・・・。
乗り入れる路線は3本。
JR山手線、東急池上線、都営浅草線。
このとき西島三重子が歌い始めたので
古い電車のドアのそばに立ちたくなった。

♪   終電時刻を確かめて
  あなたは私と駅を出た
  角のフルーツショップだけが
  灯りともす夜更けに
  商店街を通り抜け
  踏切渡った時だわね
  待っていますとつぶやいたら
  突然抱いてくれたわ

  あとからあとから涙あふれて
  後ろ姿さえ見えなかったの
  池上線が走る町に
  あなたは二度と来ないのね
  池上線に揺られながら
  今日も帰る私なの    ♪

    (作詞:佐藤順英)

「池上線」は1976年4月のリリース。
彼女のセカンド・シングルは
前年9月発売のファースト・アルバム、
「風車」に収録されている。
上記の歌詞はその2番。

ここで問題となるのは二人が出たのは
どの駅なのか? このことである。
西島自身はイベントで
「どの駅かとよく聞かれるが、
 あなたの心の中にある池上線の駅を
 思い浮かべてほしい」と語っている。
さすがですネ。

もっとも東急電鉄とタイアップした彼女。
限定してしまうと
曲による知名度アップの恩恵が
他の駅に及ばなくなるため、
こう応じざるを得ない事情もあったろう。

=つづく=