2022年6月15日水曜日

第3037話 杉並の山から山へと (その2)

浜田山から高井戸までは井の頭線沿い。
続いて神田川を見下ろしつつ、富士見ヶ丘。
そして二つ目の山、久我山に到達した。
線路の両側を丹念に歩き、土地勘を植えつける。

この日は久我山ホタル祭り当日。
家族連れによる人波が
普段の倍に膨れ上がっているらしい。
武蔵野の静かな町に活気が訪れていた。

久我山に来るのは2度目だが
早や15年の月日が流れた。
月日は流れても町の中央を流れる、
神田川の水景に見覚えがあった。

この町のイメージは
國學院久我山と岩崎通信機によるところ大。
前者は一般的に各種スポーツ。
後者は個人的に外為市場。
ディーラーとブローカーの間をつなぐのは
岩通が敷く電話のホットラインなのだ。
マネーブローカー時代はお世話になった。

17時を回って駅南側の坂道、岩通通りを上がる。
目当ての「やきとんあかね」の店頭が騒がしい。
持ち帰りのパックが飛ぶように売れていた。
売り子の女性に店内営業の有無を確かめたら
やってはいるけど、店頭で調達し、
それを中で召し上がれとのこと。

店内に先客はゼロ。
カウンターに陣を取り、赤星大瓶を発注する。
続けざまにコップ2杯をあおり、
一息ついてオモテに戻った。

購入可能なのは2種のパックのみ。
5本入り豚ハラミ、2本入り鳥つくねで
ザッツ・オール。
いくら何でも同じモンを5本は食えない。
消去法で食べたくもないつくねを―。

品書きは焼きとん13種と焼き鳥3種だが
本日は限られた部位しか仕入れておらず、
魚介系など、ほかのつまみ類は全滅。
それでも引っ切りなしに押し寄せる買い物客に
焼くほうが追いつかない。

ハートランドの中瓶に切り替え、
すぐに飲み干して早々に退散した。
今日はベトナム小瓶、アサヒ中ジョッキ、
サッポロ大瓶、キリン中瓶と
ヴァリエーション豊かなビールシリーズ。

都心からはるか遠く、
杉並の二つの山を踏破して
収穫は4種のビールだけでした。
まっ、いいか。

「やきとんあかね」
 東京都杉並区久我山2-12-7
 03-5941-6634